映画《ハクソー・リッジ》ネタバレ感想:戦わなくても英雄なれる

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作品情報

原題:Hacksaw Ridag
公開年:2016年
製作国:オーストラリア・アメリカ
上映時間:139分
ジャンル:戦争映画
監督:メル・ギブソン
評価:80

主要キャスト

デズモンド・ドス(アンドリュー・ガーフィールド)
 衛生兵として軍に志願する
ハウエル軍曹(ヴィンス・ヴォーン)
 ドスの上官
ジャック・グローヴァー大尉(サム・ワーシントン)
 ドスの所属する部隊の指揮官
ドロシー・シュッテ(テリーサ・パーマー)
 看護師。ドスの婚約者。

第二次世界大戦の沖縄戦。多くの負傷兵を救助してトルーマン大統領から名誉勲章を授与された衛生兵デズモンド・ドスの実話。
ドスは何故戦わずして勲章を授与されたのか?
そもそも何故戦わないドスが戦場に行くことになったのか?

闘わない兵士

日本との戦闘が激しさを増している中、周りの友達や弟までも志願して戦場へ行ってしまう。しかしドスは軍需工場で働いているからという理由で兵役を免除されていた。このもどかしさに耐えられないドスは、綺麗な婚約者がいるにも関わらず軍に志願してしまう。

国の為に役に立ちたい。しかし、人は殺したくない。志願しておきながら銃を持って人を殺すことはいやだという。何とも奇妙な奴だ。

人を殺したくないのなら、志願してまで戦場に行く必要がないと思うのだが、大勢の若者が戦地に行っているのに自分だけのうのうと、安全なところにいることに耐えられないのだろう。

太平洋戦争中の日本でもそうだったように、戦地に行きたくないと思う若者もいれば、国の為に戦いたいと考える若者も大勢いたのだろう。アメリカでも同じような状況だったのだ。

そして、ドスも軍に志願して国の為に働きたいと思ったのだが、他と大きく違うところがあった。

なんと、戦争に行くのに戦わなという。銃も持たないという。それじゃ何しにいくのかとなるが、戦地で負傷した兵士を助けて国の為に役に立ちたいと言いう。

幼い頃、弟をもう少しで殺してしまうという出来事があった。
戦場から帰還した父はその時から家族へのDVがエスカレートしていく。そして、母に向かって銃を振り回す父の姿にを見て、我を忘れたドスは父から奪い取った銃を父に向けた。ドスはすんでのところで父を撃ち殺してしまうところだったが、この時、ドスは心の中で父を撃ち殺していたという。
引き金を引かなかっただけで、ドスの中では父を撃ち殺していたのだ。

過去に起きた、弟への障害と父への殺意の出来事が、ドスの「決して人を殺さない」「銃さえ手にしない」という固い信条を作り上げたようだ。

戦場へ行って役に立ちたいが人を殺すことが出来ない。残された選択肢は看護兵として役に立つことだった。

信念を曲げないドス

上官も撃ちたくないのなら撃たなくてもいいから、銃をもって訓練だけでもやれという。しかし、ドスは銃を持たないと決心したからにはその信念を決して曲げることはなかった。

一番きついのは、ドスがいるから部隊全体が弱くなっているからと、罰として連帯で罰を課せられることだろう。

夜中に同じ部隊の仲間たちから殴られようと、あからさまな上官の嫌がらせに遭おうとも、それでも銃を持つことはしなかった。

どんな嫌がらせにも心の折れないドスに、とうとう上官も根負けし説得を試みるがそれでも除隊しないという。

軍法会議にかけられ道を閉ざされた状況に置かれても、「銃を持たない兵士が戦場にいてもいいのではないか」と自身の主張を繰り返す。ドスの信念の強さは誰もが認めるところだが、普通だったらとっくに折れてしまっているだろう。どこかの時点で妥協してしまっていると思う。

強運の持ち主ドス

ハクソー・リッジの戦場は凄惨極まりない。今まで6度の攻撃で6度撃退された難攻不落の激戦地だ。戦艦からのミサイル攻撃の後に突撃するも敵は次から次へと湧き出てくる。どれだけいるんだよと思ってしまうが、倒しても倒しても新たな敵が立ちはだかる。

7番目になるドスの部隊も一時は善戦するも、敵の数の多さに持ちこたえきれず撤退を余儀なくされる。

しかし、見方が退却した戦地に一人ドスが一晩中負傷兵を救助していた。負傷した見方を一人ずつ担ぎ空けもしくは引きずりながら崖のヘリまで運んでくる。

そして、ロープのみで一人ずつ150メートル下へ降ろす。この作業を一晩中続けていたのだ。しかもたった一人で。彼のこの勇気と信念はどこから湧いて出てくるのか。
暗闇からいつ狙撃されるかもわからない。とうに限界を超えたドスの周囲が明るくなってきた。遂に夜が明けたのだ。

ドスは体力はある。訓練時も部隊で一番だった。しかし、人は殺さない。ただひたすら、戦場を歩き回って生存者を救い出したのだ。この体力と強運があったからこそこの偉業が成し遂げられたのだ。

入隊時ドスは仲間たちから、蔑まれ、疎まれ、部隊内の厄介者、邪魔者扱いされていた。ドスがいる為に、軍曹から部隊全員に度を越した、しごきが与えられた。部内ないでのいじめを誘発するためにドスがいるからと部隊がさんざんののしられけなされた。

しかし、ハクソーリッジへの最後の突撃が迫る今は違っていた。ドスのいる部隊は特別な部隊になった。
誰もなしえない、思いもよらないことをやってのけだあのドスがいる部隊なのだから。
次の攻撃が成功しないわけがないと誰しもが信じていた。

今ではドスが衛生兵としてだけではなく、強運の持ち主として欠かせぬ存在となっていた。

一晩中、敵陣のなかを駆け回り多くの負傷兵を救出した。しかもドス自身はどこも負傷していない。

戦場では、敵の弾にあたらない強運の持ち主はありがたがられる。

一兵卒でも、将軍でも同じ戦場では敵の弾に当たる当たらないは運でしかない。

その強運を持つドスは絶対必要な存在なのだ。

《ハクソー・リッジ》まとめ

そして、難攻不落のハクソーリッジを陥落した時に、とうとうドスは負傷する。幸いにも足への負傷だったため、命に別状はなかった。

大統領直々に最高の名誉勲章を授与される。多くの敵を倒したからではなく、多くの仲間を救ったから。
こういうところはアメリからしい。

途中凄惨な場面が出てくるが、この事実をありのまま映像にしているからこそ、臨場感あふれる作品に仕上がったのだと思う。

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