映画《ウォークラフト》ネタバレ感想:重厚な世界観をもつオンラインゲームが原作

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作品情報

英題:Warcraft
公開年:2016年
製作国:アメリカ
上映時間:123分
ジャンル:ファンタジー・アクション
監督:ダンカン・ジョーンズ
評価:85

原作は世界で最も人気があるオンラインRPG「ワールド・オブ・ウォークラフト」。これまでにのべ1億人以上がプレイしているという。

おすすめポイント
・ファンタジーの圧倒的世界観
・見ごたえのあるVFX
・善vs悪の単純な対立ではない展開
・ところどころ感動的場面も

事前に知っておいた方かいいいワード

アライアンス:アゼロスに定住する人間を中心とした組織(ヨーロッパ中世風の世界)人間のヒューマン種族(七つの王国がある)、小柄でがっしりした体格のドワーフ種族、長身で長寿の精霊使いエルフ種族で構成される。

ホード:荒廃した世界を捨て、アゼロスに侵略してき狂暴化したオークの組織(すべてのオークが悪い奴というわけでもない)

アゼロス:ヒューマン種族たちが棲む惑星。

オーク:人間よりも体が一回り大きい種族。多くのファンタジーで登場する種族。緑色の葉だと鋭い牙が特徴。

守護者/ガーディアン:悪魔襲来の対抗策の一つ。各種族を代表するメイジたちが、一人の選ばれし者を外界からの敵を撃退できる魔力を有するように育成した。「アゼロスの守護者」は世代ごとに一人しか存在しない。

フェル:魔法の一種。生物の生命力を犠牲にして、吸収したそれを魔力へと変換する。悪魔の軍団「バーニング・リージョン」が使う悪魔の魔法。魔法の使用者と対象は、悪魔の血の色である黄緑色の発光体に包まれる。

ダークポータル:遠く離れた世界をつなぐ扉(大き目のどこでもドアのようなもの)

知っているとより楽しめるワード

ドラエナ:とある一つの惑星。滅びゆくオークの故郷。以前はオーク以外にオーガ、ドラエナイ(檻に入れられていた青い肌の種族)などの種族もいたが、悪魔の力を得たグルダンがオーク以外の種族を滅ぼした。

バーニング・リージョン:オークたちを操って手駒にしようとした悪魔の軍団。1万年前にアゼロスに侵攻するも、古代の守護者の反撃に遭い破れる。復讐に燃える悪魔たちは今回オークを使いアゼロスを事前に疲弊させる作戦をとる。

ストームウィンド:ヒューマン種族最大の王国。豊かな自然に恵まれ、経済、文化軍事のあらゆる面で他の種族を圧倒する。神聖なる聖職者や誇り高き騎士団を持つ。

ドワーフ種族:鍛冶の能力に長ける。山中にアイアンフォージという大都市を築き、武器や兵器の製造を産業としている。

ハイ・エルフ種族:クエル=サラスとい森林都市に魔力の泉を設け、アーケイン魔法を伝承している。

ダララン:魔法都市国家。かつて対トロル戦争の時、人間種族はハイ=エルフ種族からアーケイン魔法を教わる。トロルを撃退したあと、人間の魔術師たちはメイジ専用の都市を築く。

アントニダス:ダララン最高位のメイジ。

キリン・トア:魔法都市ダラランで設立された評議会魔法の探求を主導している組織。メイジのエリート集団。

ティリスファル評議会:悪魔の軍団「バーニング・リージョン」の襲来に対抗するために作られた秘密組織。太古に悪魔と交戦したエルフ種族は、他種族の高位のメイジたちと虚偽した結果秘密組織を作ることになった。その後、キリン・トアの最高位のメイジを含む、各種族の最高位のメイジたちによって構成されている。

アロダイ:初代の「アゼロスの守護者」

マッガラー:オークの言葉で「名誉の決闘」。長となることを望む者が現れた場合は、現在の長との1対1の戦いで、交代するか否かを決めるしきたりがある。

アイアンフォージ:ドワーフの首都。

マグニ・ブロンズビアード:ドワーフの国王。

知っていなくてもいいワード

マーロック:アゼロスの水棲の半魚人種族。ローサーが夜間に馬で宿へ移動している途中に、橋のふもとに登場する。

ライオンズ・プライド・イン:ストームウィンド城近くのゴールドシャイアという町にある宿屋。宿屋の内外が見事に再現されている

カラザン:メディヴが住む城。

ウォークラフト主要キャスト

アライアンス陣営(アゼロスに定住する人間を中心とした組織)

アンドゥイン・ローサー《軍神》
(トラヴィス・フィメル)
ストームウィンドの高貴な騎士。アゼロスの最も偉大な英雄の1人

メディヴ〈ガーディアン/守護者〉
(ベン・フォスター)
魔力を振るうアゼロスの守護者。アゼロス全土の高僧たちによって出生時からアゼロスの守護者として育成された最強の魔術師。母親も「アゼロスの守護者」

レイン・リン〈ウォーリアーキング〉
(ドミニク・クーパー)
ストームウィンド王国の王

タリア・リン〈希望の女王〉(ルース・ネッガ)

レイン王の妻。すなわちストームウィンドの王妃。ローサー卿の妹

オークとの戦いよりも平和的解決を望む平和主義者

カドガー〈追放者〉(ベン・シュネッツァー)

才能ある弱冠17歳の見習い魔法使い。一人前と自覚した時キリン・トアから抜けて独立してしまう「ならず者」。
腕に「キリン・トアの眼」のシンボルが刻まれている

カラン:ローサーの息子。

モローズ:メディヴの世話をする人。

ホード陣営(滅びゆく惑星ドラエナから侵略した来たオーク軍団)

デュロタン〈反逆者〉(トビー・ケベル)
フロストウルフ氏族の族長。
オーク側の主役グルダン率いる軍団の世界の破壊から一族と残りの反逆者を救うために戦う。

オーグリム・ドゥームハンマー〈戦友〉(ロブ・カジンスキー)
デュロタンの幼なじみで親友。フロストウルフ氏族の副司令官

ブラックハンド〈破壊者〉(クランシー・ブラウン)ブラックロック氏族の族長。グルダンの部下。

グルダン〈侵略者〉(ダニエル・ウー)
悪魔からフェルの絶大な魔法を授かり手下となる。同胞のオーク種族たちを悪魔の配下にしようとする。
強力なフェル魔法を使い、権力への貪欲な欲求に駆り立てられる。
ホードの創設者兼リーダーである邪悪なオークのウォーロック。

ガローナ・ハルフォーセン〈不屈のサバイバー〉(ポーラ・パットン)
戦争に巻き込まれるオークとドラエナイのハーフ・オーク。ドラエナイとは惑星ドラエナでオークと共存していた種族。グルダンに引き入れたオーク軍によって、ドラエナイは滅亡した。

ドゥラカ
デュロタンの妻。

ゴエル
デュロタンとドゥラカの息子。

ウォークラフトあらすじ

オークの住む惑星が死に瀕していた。魔術師グルダンは悪魔からの魔法フェルを用いて、人間種族たちが棲む惑星アゼロスへのテレポート用の門を作る。その門は、フェルの魔法を使った生命をエネルギーとする悪の魔法によって作られていた。

手始めに、戦士のみの先発隊を送り込んだオーク軍(オーク)はアゼロスの人間種族たちを次々ととらえ始める。故郷に残した残りの全オークを呼び寄せる為に、大量の生命体が必要だった。

一方、異世界からのオーク種族が次々と街を襲っているとの知らせを受けたアゼロスの最強国ストームウィンドのローサー卿は王のもとへとはせ参じ、「アゼロスの守護者」メディヴを王の要請として迎えに行く。

人間よりも一回りも大きく、力も強いオーク。しかもグルダンにより悪の魔法フェルによりオークはより凶暴になっている。果たして、人間種族たちはアゼロスの地を守ることが出来るのだろうか。

ここからネタバレ注意

ウォークラフト感想

オークが乗る巨狼がでかい。さすがオークを載せるだけのことはある。しかも狂暴だが賢そうだ。ローサーがオークの戦士を生け捕りにしようとしたとき、巨狼が主人を助けようと襲い掛かってきたが、ローサーがオークの首に刃を突きつけるとその意図を理解して退散していった。

魔術

アゼロス最強の魔術師メディヴの使う魔法は、ハイ・エルフ種族から教わったアーケイン魔法。目が水色に輝く。一方、悪魔の軍団「バーニング・リージョン」から授かったフェルの魔法を使用するグルダンの目は緑色に発光する。

初代の「アゼロスの守護者」アロダイがカドガーと対面した時、彼女は最後に残された力を振り絞って、カドガーを呼び寄せたと言っていた。その際、ほんの一瞬アロダイの眼が緑色に光ったのはどういうことだろう。

一方、「アゼロスの守護者」メディヴは完全にフィルの魔力に侵されたしまった。自身は「守護者は孤独であり、そのため心が弱くなりその隙をフェルの魔力につけ入れられてしまった」と語っていた。しかも、強大なフェルの魔力をも使えるほどの力量がメディヴにあったから、フェルの魔力に取りつかれてしまったのだろう。すべては心の問題だ。孤独から不安が増幅し、善の心が少しずつ悪へと侵されていく。はじめはほんの小さな隙だったのが、自身も気付かないうちにいつの間にか悪の心に侵されて行ってしまった。

フェルの魔力に侵され、本来のエルフからの魔法アーケイン魔法が弱くなったため、レイン王の配下や他の王国が窮地に立たされたようだ。

デュロタンとドゥラカの息子ゴエル。身重の状態でダークポータルを通過中、産気づく。アゼロスに到着してすぐにゴエルが生まれるが、息をしていないし、泣かない。(このへんは人間と同じ様だ)。すぐさまグルダンがフェルの魔法で近くにいた鹿の命を吸い取り、ゴエルに吹き込むと、ゴエルは息をして泣き始めた。両親は肌色なのに、この時ゴエルの肌は緑色になっていた。フェルの魔力が体内に入ってしまっているのだろうか。心配だ。

裏切り

デュロタンの右腕、オーグリム・ドゥームハンマーが裏切っていた。フロストウルフ氏族の副司令官であるオーグリム・ドゥームハンマーがまさかデュロタンを裏切るとは。よほど人間を信用できなかったようだ。

デュロタンとレイン王の極秘会談をグルダンに密告したようだ。そのため、グルダンの部下ブラックハンドたちの氏族に待ち伏せされ、この時ローサーの息子カランが命を落としてしまう。

デュロタンとオーグリム・ドゥームハンマーが二人丘の上に座りまったりとしたおしゃべりと悪ふざけのシーンはほのぼのとする。幼なじみのお互い気心の知れた二人だったはずなのに。悲しすぎる。

裏切ったオーグリム・ドゥームハンマーを一発殴っただけで許してあげる。やはり二人は戦友であり親友であり気心を知れた幼なじみだ。

悲劇

ローサーの息子カランの死。

メディヴの魔法で息子を含む人間の騎士たちが敵陣に取り残されてしまう。追い詰められた騎士たちは、次付きとオークの手にかかって殺されていく。

ブラックハンドはわざと父ローサーに見せつけるように、カランを殺害した。

助けたくてもメディヴの強力な魔法に阻まれて近づくこともできないもどかしさに苦悩するローサー。この時、息子の死体の前で立ち尽くすローサーは復讐を誓ったであろう。

痛快

ローサーとブラックハンドの一騎打ち(アロダイ)。息子カランの復讐を誓ったであろうローサーが一撃でカタをつけてしまった。さすがローサー。かっこいい。

そして、人間であっても勝者に敬意を表するオーク達の中をローサーは堂々と歩む。グリフォンにレイン王の亡骸を載せてローサーは、ガローナへの複雑な思いを胸に故郷へと向かう。もう一度かっこいい。この時必ず軍を再建してレイン王の弔いである、オークへ反撃を胸に言い聞かせていたであろう。

感動

ドゥラカ、命尽きる瞳に川面に流れていく息子を焼き付ける。

ドゥラカは最愛の息子を守るため、追手のオークと刺し違えて絶命する。たとえ種族は違えども、親は命がけで子の命を守る。誰かに拾われ生き長らえてくれることを願って。

デュロタン、妻に息子を託して最後の賭けに出る。

最愛の息子を妻に託して、自身はグルダンとの刺しの対決(アロダイ)による賭けをする。グルダンがフェルを使えば全く歯が立たないが、アロダイであれば魔力を使わず古代からの習わし通り、力と力の勝負に出るだろうと踏んだ。

最初の内は、予想通りお互いの力のみの戦いで進展していたが、形勢が不利になって来たグルダンがとうとうフェルの魔法を使った。そして、デュロタンの命を最後まで吸い取ってしまう。あの、巨体も心も強いデュロタンが生気を吸い取られた無残な姿となってしまった。

レイン王の決断

命尽きる直前、元に戻ったメディヴは最後の力を振り絞って、ダークポータルでストームウィンドへの帰路を開く。オークの大軍に押されていたレイン王の戦士たちは、次々にストームウィンドへ帰っていくが、レイン王は最後の最後まで残り、ついにはメディヴが力尽きたとき、ダークポータルの門が閉じてしまう。完全にオーク軍に取り囲まれ絶体絶命のレイン王が、そばにいたガローナに「オークと人間の架け橋になれ。頼んだぞ」と言い残し、自分を殺してオークの英雄になれと命じる。人間の族長を殺して栄誉を得たい、ブラックハンドが突進してくる目の前で、ガローナは背後からレイン王の首に王妃からもらった短剣を静かに刺す。この時のレイン王の「ここまでか」という無念といたたまれない気持ちにグッとくる。オークの大軍を目の前にして自身は人間の将来を見ることが出来ない事、悔しく思っただろう。しかも自分の後継となる息子はまだ幼い。しかし、選択のこれしか選択の余地はなかった。なんて非情な。

ガローナの心境も複雑だ。これまで、人間側の味方をしてオークを殺してきた身だが、レイン王の最後の願いを受け入れて、自分は生き残りオークの側について人間との間の架け橋となることを決意する。今まで、オークの中でもハーフと蔑まれてきたガローナが、一転英雄として迎え入れられるも、その表情は悲しみと苦悩に満ちている。

ウォークラフト映像

何といっても目を見張るVFX技術。オークの個性的な容姿や身に着ける装具、巨狼やグリフォンなど映像だけでウォークラフトの世界へ引き込まれる。

デュロタンとドゥラカの息子、ゴエルの動きと言い表情はすごいの一言。

オークの迫力がすごい。人間を簡単にひねりつぶす破壊力。外見も異様だ。相撲取りのような巨体にすべての筋肉が大きく盛り上がっている。一人ひとりの顔が違うように、牙や角、しまいには背中にまで角が生えている。それが強さの証なのだろう。よく見ると、細かいところまで作りこまれていて、一人ひとり個性を出している。あれだけの大人数でこれだけのバリエーションを作るのは相当大変だっただろう。

キャスト

ローサー卿

本作品の主人公。ラストはアライアンス同盟(アゼロスに住む全種族の同盟)の軍司令官になる。5歳になるレイン・リン王の息子の摂政となり王国を支えていく重要な存在となる。

とにかくカッコいい。

息子をブラックハンドに殺された後は、怒りを面に出すことはなく酒に溺れる。

最高の司令官だがやはり一人の父親だ。妻は息子を生んですぐに死んでしまっている。その時、何年かは生まれた息子を恨んだようだが、息子が成長するにつれて、妻への愛情もプラスして息子を愛したようだ。戦のたびにいつも息子の身を案じていた。

カドガー

見習い魔術師として登場するが、実はとんでもない実力の持ち主だ。

最初のころはローサーもいないよりはいた方がまだましだろうぐらいの扱いだった。一応魔術師だし、たいして期待もしていなかったが、オークとの戦いでその魔術の実力が開花?していく。しかも急速に。そしてフェルの魔力に憑りつかれたメディヴのとの戦いでは、そのフェルの魔力を凌駕してしまう。

カドガーは最初の見立てとは違って意外とできるやつだった。そして、メディヴの跡を継ぎ「アゼロスの守護者」になるのだろう。

デュロタン

若きオークの族長。族長はどうやって決まるのだろうか。族長になりたい候補が二人いた場合は、一対一の対決だろう。しかし、族長の子供がどうも次の族長になるようだ。後継者にその資質がない場合は、別の候補が出てくだろうが。

デュロタンは若いのに、将来のことを見通す目を持っている。しかも多くのオークたちがグルダンの魔力によって狂暴化している最中に、彼だけは落ち着いた冷静な判断ができるようだ。このまま全オークがアゼロスに来てしまうと、いずれここも故郷と同じ様に住めない場所になってしまうのではないかと考えている。

今後のオークと人類たちの運命を握る重要な人物だったのに惜しくも失ってしまった。

残念な点

オークの見分けがつきにくい。

初めのうちは、次から次へと出てくるオークの区別がつかなかった。やたらとたくさんお固有名詞登場して、ストーリを追うのがおろそかになってしまう。

以外にも

平和的解決を望むのが、侵略してきたオーク側に存在するのがおもしろい。普通だったら、人間側の王の側近あたりが、戦争で解決するのではなく平和的共存の道を探そうと提案しそうだが、以外にも平和的なのはオークのデュロタンだった。

オークだけがなぜ別次元に住んでいたのだろう。人間やエルフ、ドワーフは同じ世界にいてオークだけが、違う世界に住んでいた。

昔何かあったのだろうか。記録にもないはるか昔に。悪魔の軍団が関係しているとか。

以下は勝手な想像。

残されたのはまだ生まれたばかりの赤ん坊。デュロタンとドゥラカの息子。

誰かが拾ってくれることを願って、赤ん坊を川へ流すのはよくあるシーンだ。最後のシーンで高貴な身分の人間?に拾われそうだった。そして人間に育てられたオークの氏族長の息子が18年後には立派に成長して、デュロタンの親友で副氏族長のオーグリムに見つけ出される。そのあとは、ガローナと協力してグルダンを倒してオークの王となる。

一方人間側は、幼き王子が成長するまでローサーが摂政となり軍と政治を取り仕切る。

そして18年後王子が23歳ぐらい。すでに王位を継いでいて叔父のローサーは同盟軍の司令官として青年王を支える。人間に育てられたオークの王とオークに父を殺された人間の王は戦争を続けるのだろうか?

これだけ次回作への伏線を張っておきながら、いまだに続編が作られていないのはもったいないというか、ただただ残念としか言いようがない。

ダンカン監督~、お願いですから続編を作って下さい。

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