映画《ぼくは明日、昨日のきみとデートする》ネタバレ感想:ファンタジー風恋愛ドラマ

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作品情報

製作年:2016年
上映時間;111分
監督:三木孝浩
評価:76

主要キャスト

南山高寿(福士蒼汰)
 美大に通う20歳の学生。愛美に一目ぼれする。

福寿愛美(小松菜奈)
 美容の専門学校に通う、涙もろい20歳の学生。高寿に隠し事をしている。

上山正一(東出昌大)
 高寿の親友。

あらすじ

ある朝高寿は通学電車のなかで、乗降口に立つ一人の女性に一目ぼれしてしまう。恋には奥手の高寿だが、ここで離ればなれになってしまえば二度と会えないという思いから、彼女が下りた駅(自分の降りる駅ではない)で思わず後を追って降りてしまう。そして、振り向いた彼女に「一目ぼれしました」と宣言する。「連絡先を教えてほしいと」と伝えると、彼女から「携帯を持っていない」と告げられ、「ああ。体のいい断りの返答だ」と解釈して、その場を後にしようとする。しかし彼女は高寿を呼び止め「本当に携帯を持っていない」と言う。そして、また明日会うことを約束して別れるのだが、なぜか彼女は涙を流していた。

《ぼくは明日、昨日のきみとデートする》ネタバレ感想

高寿

この作品の一番のシーンは、高寿が愛美の涙の理由に気付いた時だ。出会いから今までの体験を一緒に共有できない辛さに苦しんでいる時に、なぜか唐突に愛美が涙を流していたことを。あの涙の理由に気付いたとき、高寿はようやく愛美と心が共有できる。一緒に、ではないけれど、時を超えて、喜びも悲しみも共有できるようなる。

愛美は高寿との30日間がどのようなものになるかあらかじめわかっていた。しかし、高寿にとっては、愛美と出会い、楽しい毎日が徐々にピークへと向かっていくが、愛美のメモ帳を見つけて時、大混乱を起こし、そのあと愛美と会うのがつらくなって下降へと向かう。

しかし、愛美の涙の理由を理解してからは、つらいのは自分だけではなかったのだとわかり-、残りの愛美との時間を大切にしようと決心する。愛美と過ごせる時間は限られているのだから。その時間を大事にしなければ絶対に後悔すると気づいたのだ。それからの高寿は変わった、親友の上山も言っていたように、大人になったのだ。人間的に深みが増したのだ。

愛美

高寿から見る愛美は、かわいらしくておしとやかで、気が利いてるうえに、よく笑う。でも、「なぜそこで」という場面で涙を流す。でもこの涙を流す場面が非常に重要な意味を持っている。高寿から見ると、今お互い楽しいはずなのに、隣にいる愛美は泣いている。何故としか言いようがない。

しかし中盤、愛美が高寿の部屋に手帳を忘れたことによって、その理由が明らかになる。そうだ、愛美が手帳を忘れたのは、わざとだった。高寿が手帳を拾って、中を見てくれないと先に進めなかったのだ。恵美の隠していたことを説明するきっかけが作れなくなってしまう。

高寿は愛美に「予定通りの行動をとってて楽しくないのでは」問いかける。高寿が未来で愛美に語った過去の事を、記録したメモ。これから何が起こるかあらかじめわかっている愛美は、それで幸せなのだろうかと思ってしまう。

愛美の涙の理由がわかってから、愛美の気持ちを思い返すと胸が締め付けられる。高寿が愛美に初めて声を掛けた日、愛美にとっては「別れの日」が始まる時だったのだ。その後何度も、愛美は涙を流すが、愛美にとっては高寿と出会った日に近いほど、悲しみが大きかったはずだ。逆に、出会ってから10日、20日と日がたつにつれて、愛美にとっては高寿と出会える日が増えてくるので、悲しみも少なくなっていく。

そして愛美との最後の日、出会ってから30日目は愛美にとって、5年ぶりに会う大人の高寿なのだ。高寿が待つ大学の教室に入った愛美は、ちょっとはにかんだような、少しよそよそしい様子で入ってくる。5年ぶりに愛する人(5歳若返った高寿)に会うのを、胸の弾む思いでこの日を待ち焦がれていただろう。

高寿に比べて愛美の30日間は難しい。高寿がメモを見て、理由を分かってもらえた後はまだ気が楽だが、高寿が初めて声を掛ける日までは、慎重な発言と行動をしないと、不審がられてしまう。「キリンのクロッキー」の件や、「チョコレートを隠し味に使う」件のようなことがたびたび起こると、予定通り事が進まなくなりしまいには、2人の生死にかかわってくる。。

そして愛美の最後の日(高寿の最初の日)、愛美はこれから引っ越すことになる高寿のアパートの部屋に別れを告げてから、急いで電車へと向かう。

高寿が勢い、もしくは勇気を振り絞って告白して愛美との明日の再会を約束して浮かれている時、愛美はこれが最後の時だと必死に悲しみをこらえていたのだ。

愛美の最後の日、高寿と会える時間はあまりにも短い。

《ぼくは明日、昨日のきみとデートする》とは?

愛美の住む世界は、高寿の住む世界と時間が逆に流れている。と言われても???

一体どう事。ゆっくり考えないと訳が分からない。高寿の明日は、愛美にとっての昨日で、高寿の昨日は、愛美にとっての明日になる。高寿が会う愛美は昨日の愛美ではなく、明日に何があったかを知っている愛美である。よって、今の愛美は、高寿とのデートの事を経験していない。未来の自分から聞かされてことを愛美は知識として知っているだけである。

そして、5年に1度二人は30日間だけ出会うことが出来る。

「高寿が5歳、愛美が35歳」 池に落ちた高寿を愛美が助ける

「高寿が10歳、愛美が30歳」 高寿は愛美から秘密の箱をもらい、一緒にタコ焼きを食べる

「高寿が20歳、愛美が20歳」 ようやく同じ歳になった二人が出会う

「高寿が25歳、愛美が15歳」 高寿が愛美に二人の間の秘密を話す

「高寿が35歳、愛美が5歳」 高寿が愛美を爆発事故から救う。

どこが初めでどこが終わりということはない。

高寿が5歳の時に愛美に助けてもらったから、愛美が5歳の時に高寿に助けてもらえるのだから。お互いが5歳の時二人の運命が交差した。

《ぼくは明日、昨日のきみとデートする》まとめ

5歳の愛美を助けたときの35歳の高寿は、幸せな家庭を築いているのだろうか、5歳の高寿を助けた35歳の愛美は、同じように幸せな家庭を築いているのだろうか。愛美は自分の選んだ仕事をバリバリとこなしているように見える。

短いがその替わり、より深い愛情と悲しみを伴った30日間だった。これほど短期間にお互いの心情を分かり合える出会いと別れもないのではないだろうか。面白い設定だ。

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