映画《キング・アーサー》作品情報
原題:King Arthur : Legend of the Sword
公開年:2017年
製作国:アメリカ、ギリス、オーストラリア
上映時間:126分
監督:ガイ・リッチー
評価:78
映画《キング・アーサー》主要キャスト
アーサー(チャーリー・ハナム)
叔父のヴォーディガンの裏切りにより、父ユーサー王を殺される。スラム街で育ち、幼い頃に見た悪夢にうなされる日々のなか、運命の剣(聖剣エクスカリバー)を抜くときを迎える。
ヴォーディガン(ジュード・ロウ)
アーサーの叔父。ユーサー王の弟。妻を生贄にして黒魔術の力を借り王となる。
メイジ〔魔術師〕(アストリッド・ベルジュ=フサスペ)
アーサーを真の王にすべく、ヴォーディガンの手から彼を救出する。動物に憑依する魔術を使う。
ベディヴィア(ジャイモン・フンスー)
ユーサー王に仕えていた家臣。ユーサー王死後、野に下りメイジと共にアーサー王を救い出し、彼を王にしようと奮闘する。
映画《キング・アーサー》あらすじ
イングランド王ユーサーは弟ヴォーティガンの謀反に会い殺されてしまう。まだ幼いユーサーの息子アーサーは目の前で両親が殺されるのを目の当たりにし、一人小舟に乗せられ難を逃れる。
スラム街に流れ着いたアーサーは娼婦に拾われ売春宿で育てられる。
アーサーが少年になると同じ悪ガキ仲間たちとスリなどの悪事を働く傍ら、格闘技にも励み始める。剣技、格闘技など持って生まれた才能ゆえ、めきめきと上達し彼を超えるものはいなくなる。
アーサーが青年になったころ、突然城の間近の川の水位が下がりエクスカリバーが姿を現す。正当な王位継承者が適齢期になった為だ。驚愕するヴォーティガンは国中の若者を集めさせてエクスカリバーを引き抜くテストをさせる。兄ユーサーの後継者を即抹殺するためだ。
ヴォーティガンの部下に捕らえられたアーサーは誰も引き抜けなかったエクスカリバーをやすやすとひき抜く。しかし、剣の持つパワーに圧倒されて気絶してしまう。資格があるアーサーであっても、たやすく剣を操れるわけではない。アーサーの前途は多難だ。
映画《キング・アーサー》感想
「アーサー王伝説」、「エクスカリバー」、「円卓の騎士」、「魔術師(メイジ)」と気持ちがワクワクしてくる単語が次々と出てきて、しかもオープニングから魔術師の操る巨象が出たり、それを単身ユーサーがエクスカリバーを繰って撃退したりといきなりテンションが上がるシーンでスタートする。
アーサー王伝説の映画だからてっきりソードアクションの連続だと思っていたら、魔術師は出るは、想像を絶する巨象が登場して「ロードオブザリング」を彷彿をさせるシーンもあった。この魔術師の登場で一挙にダークファンタジーぽくなって俄然身を乗り出して見だした。
どんなジャンルがピッタリくるか
この作品のジャンルは何が一番しっくりくるだろうか?
ダークフ・ァンタジー、ヒロイック・ファンタジー、ファンタジー・アクション、歴史アドベンチャー、歴史スペクタクルどれも当てはまりそうで、少し違うようにも感じる。「歴史」という文字を入れるほど史実に近いわけではないので、歴史は外そう。
ヒロイックファンタジーだと『コナン』や『グイン』を思い出す。アーサーはエクスカリバーをもてば無敵だ。しかし、いまどきヒロイックファンタジーというジャンルに入る映画作品もほとんどないだろう。思いつくのは『スコーピオン・キング』ぐらいか。
ダークファンタジーはどうだろう。確かに全編暗かった。黒魔術も登場したけど、大した黒魔術ではなかった。ダークファンタジーだともっと陰湿な魔術が多数登場してほしい。やはり、ファンタジー・アクションあたりが一番しっくりくるだろうか。
アーサーの幼少期
幼少期のアーサーは目がぱっちりでかわいらしい。その大きな瞳で両親が殺される所を見てしまう。
母は魔物と取引したヴォーティガンの刃にかかり命を落とし、父は自ら天空高く投げ上げたエクスカリバーを身に受けて死んだ。そう、エクスカリバーは岩に刺さっていたのではなく、ユーサーに刺さっていた。ユーサーが空高く投げ上げたエクスカリバーは、落下して来た時、うずくまったユーサーの背を刺し貫く。そして見る間にユーサーは岩と化し、エクスカリバーと共に水中へと没する。衝撃的なシーンだ。剣をヴォーティガンに渡したくないユーサーは、自らの命と引き換えに川底深くエクルカリバーを持ち去ったのだ。
魔物と取引したヴォーティガンには到底かなわないと悟ったユーサーは、せめてエクスカリバーだけでも渡すまいと自らの命と引き換えに守り抜いたのだ。成長した息子に渡すその日まで、エクスカリバーを持ち去ったのだ。なんて悲しい事実。
そう、エクスカリバーを引き抜くために国中から集められた若者たちは、石化したユーサーの体から引き抜こうとしていたのだ。
アーサの少年期
スラム街だから悪ガキはたくさんいたのだろうが、アーサーはそんな仲間たちと共にスリをしたり、喧嘩をしたりと逞しく成長していく。格闘技に目ざめるのもこのころで、血筋の性か。
このあたりの成長をもうちょっと詳しく描いてほしかった。成長後の性格にかかわってくるのでどのような成長過程を経たのかを見せてほしかった。おそらく親代わりの娼婦は愛情深く育ててくれたのだろうが、その辺の描写がほとんどないのが残念。やたらと小金をためるシーンが多かった。
アーサーの青年期
幼少期のトラウマから、思い出したくないこと、心を背けたいことがあるためエクスカリバーをなかなか操れない。
誰にでも思い出したくない過去の一つや二つ持っているものだ。嫌な思い出は、極力思い出さないように遠い記憶の彼方へ追いやってしまう。
しかし、時にはその嫌な出来事と真剣に向き合わないことには、前に進めないこともある。それを乗り越えられた時、人は一回りも二回りも大きく成長できるのではないだろうか。
アーサーはようやくエクスカリバーを操れるようになってから、貫禄も出てくる。それにユーモもあり誰からも好かれ頭もキレる。指導者、王の器だ。
ヴォーティガン
アーサーの父ユーサーから王位を簒奪した悪魔の化身のようなやつ。
何故悪の道へ走ったの詳しい説明がなかった。一体、何があって兄を追い落としのか。ただ王位への欲望の為なのか、それとも兄に対して憎悪を燃やす出来事があったのか。
自分の野望を抑え切れずに妻を生贄にして自分の欲望を実現しようとした最低の人物。
アーサーが見せられた魔物と取引きしたヴォーディガンの支配する未来の国は、人としての幸せもなく、荒廃した焼け野原が延々と続く廃墟と化した街並みだった。
そのように荒れ果てた国の先に彼は何を見ていたのだろうか。その先の望みは何なのだろか。人望もなく恐怖で支配する国王になることが望みなのだろうか。
アーサーの成長物語
精神的にも成長した時にこそ真の強き勇者となれる。
この映画は下克上ものでもあるが一人の青年の成長物語でもある。
アーサーがいとも簡単に剣を引き抜いて、軽々と操って強くなってしまったのでは面白くない。
たとえ主人公であっても苦労して時間をかけて、時には命を賭けて手に入れたものにこそ本当の価値が生まれる。
スラム街で育った若者は、親はいなくても愛情深く育てられ、いろんな大人達を見て育ってきたため人の本質を見抜く目が養われた。度胸も据わっていてる。駆け引きではいつも相手の上を行き、そこがご気味良い。特にバイキングの統領とのやり取りがおもしろい。
ヴォーディガンの兵士に仲間や育ての親を無残にも殺されたことによって、自分のやるべきこと、やらなければならなことを徐々に自覚していく。
そして、周りの多くの仲間たちに支えられて王者としての風格が備わってくる。
アーサーは仲間を決して見すてない。自分の命を顧みず助けに駆け付ける。
最後のシーンで、アーサーがバイキングの統領にに言った「敵を作るより仲間を作れ」と言って、共に食事をするように促す。カッコいい。
映画《キング・アーサー》まとめ
ともに戦ってくれた仲間たちを騎士に叙任するシーン。
そしてアーサーもアーサー王として任じられる。
この叙任式。質素な場所で、威厳も何もないし見届け人もいないからこそ、そこがまたいい。ただ自分たちだけで行う儀式だが、彼らのこれからの未来が今この瞬間から始まる。鳥肌もの、全身がしびれる感動が襲ってく
そしてクロスをめくるとそこにはあの有名な円卓が現れる。
エクスカリバーやアーサー王伝説をもっと詳しく知りたくなった。
アメリカでは興行成績が振るわなかったが何故だろ。人物の心理描写が弱かったからか? それを差し引いても面白かったのだが。