映画《オール・ユー・ニード・イズ・キル》あらすじネタバレ感想:へなちょこトム・クルーズの変貌ぶりが面白い

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出展元:http://www.edgeoftomorrow-movie.com/film-gallery/
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作品情報

原題:Edge of Tomorrow
公開年:2014年
製作国:アメリカ
上映時間:113分
監督:ダグ・ライマン
評価:90

 原作は日本のライトノベル桜坂洋の「All You Need is Kil」のタイムループSF

映画《オール・ユー・ニード・イズ・キル》キャスト

ウィリアム・ケイジ(トム・クルーズ)
アメリカ軍のメディア担当将校。階級は少佐。広告代理店が戦争の影響で倒産。軍の予備役に入っていたため徴兵されたが実戦経験は全くない。

リタ・ブラタスキ(エミリー・ブラント)
統合防衛軍の兵士。ミドルネームはローズ。フランスのヴェルダンの戦いで、1日に数百体のギタイを倒し、「ヴェルダンの女神」と呼ばれている。しかし兵士の間では「戦場の牝犬(ピッチ)」とも呼ばれている。

ファレウ曹長(ビル・パクストン)
統合防衛軍の曹長。ヒースロー基地で新兵の訓練にあたる生粋の軍人。

ブリガム将軍(ブレダン・グリーソン)
統合防衛軍の将軍。ロンドンの統合防衛軍本部で指揮を取っている。最前線への任務を拒否し挙句には脅迫してきたケイジ少佐を逮捕し2等兵に降格する。

カーター博士(ノア・テイラー)
ケイジやリタに協力する科学者。素粒子物理学と微生物学の専門。ギタイを生物学的に分析している。ギタイの仮説をブリガム将軍に理解してもらえず、研究の場から離されている。

グリフ(キック・ガリー)
統合防衛軍のJ分隊の隊員。初めて戦場に出るケイジに機動スーツをつけてくれる。タイムループを繰り返したケイジが武器の指定をすることに驚く。ラストでケイジやリタと共にルーブル美術館へ向かう。

クンツ(ドラゴミール・ムルジッチ)
統合防衛軍のJ分隊の無口な隊員。

ナンス(シャーロット・ライリー)
統合防衛軍のJ分隊唯一の女性隊員。禁止しているトランプをしていることをファレル曹長に見つかり、罰としてトランプを食べる。

スキナー(ジョナス・アームストロング)
統合防衛軍のJ分隊の隊員。訓練中に抜け出したケイジを待ち受けて喧嘩を吹っける。目をつぶったケイジにパンチをかわされて驚きの表情を浮かべる。ケイジやリタと共にルーブル美術館へ向かい、グリフとともにおとりとなり、最後は自爆する。

フォード(フランツ・ドラメー)
統合防衛軍のJ分隊の隊員。戦死した友人のフォードの家族に年金を送るためにフォードになりすましている。ケイジやリタと共にルーブル美術館へ向かい、ヘリからギタイを攻撃するも、ギタイに襲撃されやられる。

キンメル(トニー・ウェイ)
統合防衛軍のJ分隊の隊員。太めの人物。下着の上に機動スーツを着用している。フランスでの戦闘で、降下直後に飛行機に潰されて死亡する。タイムループを繰り返すケイジは何度か助けようとするがそのうち諦める。

映画《オール・ユー・ニード・イズ・キル》あらすじ

 突如現れたエイリアンの地球侵略に苦戦する人類は、防戦一方のなかヨーロッパでの戦闘で反撃の糸口がつかめると期待されていた。

 主人公ウィリアム・ケイジ少佐は米軍の報道官。ある程度の成功は収めていたが実戦経験はゼロ。戦場での負傷を嫌がり、ブリガム将軍に脅迫まがいの言動をしたとたん、将軍の不況を買い二等兵に降格の上新兵として最前線へ送られてしまう。

 ケイジは歩兵が着用する機動スーツに装備されている安武装全装置の解除法も教えてもらえないまま、戦場へ放り出され初日に戦死する。しかし、敵のアルファ-ギタイを道ずれに自爆した際に敵の血を浴びる。これ以降ケイジは死ぬと前日に戻るというタイムループ能力をアルファ-ギタイから奪う形となった。そしてケイジは死ぬたびに強くなっていく。

映画《オール・ユー・ニード・イズ・キル》ネタバレ感想

ウイアム・ケイジ

 強くてどんな敵おもなぎ倒すあのトム・クルーズが臆病で弱々しい役に。こんなトム・クルーズ今まで一度も見たことない。いつもあの自身に満ちたトムは影をひそめ、隙あらばいつでも逃げ出そうとする卑怯な男を演じている。それがまたうまい。全然違和感がなく、機動用スーツを着たへっぴり腰のトムは明らかい素人という感じが出ている。

ケイジは総司令官の将軍を恐喝して怒りを買う。現場では、毎日何万人もの兵士が命を落としているというのに、アメリカから来た将校が、自分は「兵士ではないので戦えない」だから「最前線へは行きたくない」と駄々をこねる。この軟弱なケイジを彼の上官も見放したのか、将軍は上司の承諾を得ていると言っていた。ケイジは見捨てられたのだ。前線へ行かされればたとえ兵士でなくとも待っているのは高い確率での『死』のみだ。

将軍に取り入ろうとせず、おとなしく少佐として前線へ赴けばまだ生き残る可能性もわずかながらあったかもしれない。しかし、将軍の不興を買って意識を失って放り出されたのは、新兵を訓練するヒースローだった。しかも、出撃は明日の朝6時。十分な訓練もないまま最前線へ行かされる羽目になる。なんて不幸なケイジ二等兵。でも身から出た錆だ。

武器の安全装置解除の方法も教えてもらえないまま、地上へと降下させられたがあっけなくギタイに殺されてしまう。ケイジは主人公のはずだが呆気なく殺されてしまった。前代未聞だ。そして死んだはずのケイジは前日にタイプループする。

 そしてここからが面白い。あのアルファ-ギタイの血を浴びて以降、ケイジは何十回、何百回死のうが前日の同じ時間に戻ってしまう。なんて好都合な、ある意味うらやましい。失敗したらすぐリセットできるということは、ゲームと同じじゃない

 この展開SF好き、タイムループ好きにはたまらない。はじめは弱くて臆病だったケイジが、負傷するとわざと死んで生き返る。何度も試した体験をもとに危険を回避して、そしてリタから戦闘技術を教わり、敵の情報を増やしていくにつれて徐々に強く逞しい軍人へと変貌していく。顔つきから体つきまでの変わりようはさすがトム・クルーズといいたい。

 序盤ケイジはきょろきょろとちょっとでも隙あらば逃亡をはかっていた。それが次第に何もかも知り尽くしたベテラン軍人に変貌していく。

 そして中盤ではどんな選択をしても、翌日にはリタが死んでしまうことを回避することが出来ないと分かり、無力感と絶望に押しつぶされそうになる。何百回と目の前で死ぬリタを見続けてきたケイジは、リタの協力なしで独力で「オメガ-ギタイ」の潜んでいるダムへと向かう。しかし、それはウィリアムをおびき寄せタイムループ能力を奪う罠だった。

 終盤のケイジは一縷の望みに賭けてラスボス「オメガ-ギタイ」を倒すべく、長年軍にいるような古参兵の風格を漂わせている。1日しかたっていないが、ケイジの体感時間ではそれだけの実戦経験を積んでいる。

リタ・ローズ・グラタスキ

 統合軍軍曹。背中にポップアップガンのあるdog装備スーツ着用。同種装備でフェイスマスクをつけた兵たちと特殊分隊を組んでいる。

 過去にギタイとの戦いで大きな戦功を立て、「ヴェルダンの女神」と称されて英雄視されている。

 以前はケイジのようにタイムループの能力があったが負傷して輸血をされてからは、その能力が消えてしまった。

 このリタがまたかっこいい。細見の体型でありながら重厚な極太の剣を振り回しギタイを次々となぎ倒していく。

そして、リタもタイムループの能力をもっている時恋人の死を何百回と見ている辛い過去を経験していた。

ウイリアムとリタの関係

 リタはオメガ-ギタイを捜す役割をタイムループの能力を持つケイジに引き継ぐ。

 ケイジは何度も復活してリタの過去のことをどんどん知っていく。リタに惹かれていくケイジだが、リタにとってケイジはいつも初対面だ。しかもリタは翌日には死んでしまう。

始めはリタに戦闘方法を学び、負傷してはリセットと称してリタに銃で殺される。淡々と銃何度もケイジを殺すリタがクールだ。タイムループの能力がなければ、なんとも残酷なシーンだがケイジを強くするためと割り切って簡単にリタは撃ち殺してしまう。しかし、生きら時間が戻るとはいえ、撃ち殺されるときは相当な苦痛だろう。

ケイジはリセットを繰り返すたびにどんどん強くなりリタをも超えるほどになるが、どうしても翌日にはリタが死んでしまう。この時ほど、辛く悲しい時はなかっただろう。実際はたった1日だが、ケイジの体験は何百日もリタと供にいるのだから恋をしない方がおかしい。

 ケイジは目の前でリタが死ぬ場面を何十回、何百回と見なければならない。なんて非情でツライことだ。オメガ-ギタイの居場所を捜索しながらリタの死を何とか回避しようともがくが、どんな方法を選択しても結局リタは死んでしまう。二日目にはリタは死ぬ運命だとあきらめたケイジはリタの生存をあきらめてオメガ-ギタイの捜索に全力を尽くす決心をする。

 しかし、ラストのオメガ-ギタイの血を浴びたケイジは今まで戻っていた時間とは少し前の時間へタイムループする。そして、その世界は謎のエネルギーが観測された後、ギタイが次々と倒れていく。

 米軍少佐としてケイジは訓練中のリタのもとへ向かうと、不思議そうに彼女はケイジを見返してくる。ここで終わるのだが、この後ケイジは二人で成し遂げたことをリタに話すのだろうが、自分の気持ちも伝えるのだろう。

カーター博士

リタがタイムループになっている時にカーター博士と出会えてよかった。彼なしでは、ギタイのことも、ループ現象のこともましてやオメガ-ギタイの事も分からずじまいで、ただリタとケイジは輸血されるまで、毎日同じ日を繰り返していただろう。

「アルファ-ギタイに突き刺せば、オメガ-ギタイと同調して居場所が分かる」といっていたが、アルファ-ギタイにオメガ-ギタイの居場所が分かっても、アルファ-ギタイはそのことを人間に教えてくれないだろう。「アルファ-ギタイに接続すると、オメガ-ギタイとの交信が入る」とカーター博士が言っていたが、ケイジは装置を足に突き刺していた。リタの指示で。“接続”とはちょっと違っているみたいだが。

接続と同時に、ケイジはオメガ-ギタイと交信して、オメガ-ギタイのいる場所を特定できた。カーター博士がいなければ、オメガ-ギタイの居所はつかめず、人類は滅亡していただろう。

ギタイ

敵は軍隊のように複数ではなく、オメガを中心とした1個の有機体と考えた方が良い。

オメガ-ギタイ

完璧な進化を遂げた侵略有機体。“時”を操作する能力をもっている最強エイリアンだ。

オメガ-ギタイは敵の頭脳。自らは攻撃も防御もできないので、居場所を悟られないよう偽装工作をする。

オメガは侵入者=同調者(リタやケイジのようにタイムループ能力を手に入れた者)に気が付くと、幻覚を見せて近づいてくる。この時、ケイジはオメガの居場所を突き止めようとしたが、逆に偽の場所を見せられて罠にはまってしまう。

宇宙には数百万のオメガが浮遊していて、絶好の星をみつけてはその星を支配している『種』に襲い掛かり星全体を支配してしまう。

アルファ-ギタイ

青みがかっていて、ドローン-ギタイより大きい。

ドローン-ギタイの神経中枢。618万対のドローンに対して1体しかいない。

殺されると、自動的にリセット機能が働き、時間のループが始まる。ただし以前の記憶は残したまま。そのため相手の行動を予知できる。この能力のおかげで、ギタイは人類の行動を予測して追い詰めてきた。

タイムループ

ケイジ少佐は初陣で敵の『アルファ-ギタイ』もろとも爆死して青い血を浴びた為タイムループの能力を手に入れる。

リタも同じような能力をもっていて多数のギタイを葬り去り英雄と称えられていた。しかし現在はタイムループの能力を失っている。

輸血されると、タイムループの能力が失われてしまう。ケイジは、病室のベッドで目が覚めるといつの間にか輸血をされていることに気が付いて、絶望に襲われる。今までのように簡単に死ぬことは出来ない。もうタイムループすることは出来ないのだ。これからは、絶対失敗は許されない。失敗すれば人類の未来はない。

ラストの疑問

なぜケイジは今までとは違いへりの中で目覚めたとき迄、タイムループしたのか?

また、その時(ケイジが目覚めた時)より少し前にルーブル美術館で爆発があり、すべてのギタイが消滅したのはなぜか。

以前のタイムループは病院で輸血されたため、一度リセットされている。ラストでは殺されてしまえば今までのようにタイムループすることが出来ない状態。ここで、ケイジはオメガに串刺しにされて即死状態になると同時にオメガはケイジの落とした爆弾で爆死。オメガの血がケイジの体内に取り込まれる。そのオメガの血でケイジは今までと違う時間にタイムループする事になった。

ただ、ここで一つ疑問が。何故アルファではなく、オメガの血でタイムループが出来たのか?オメガ-ギタイはタイムループできないのではないか。それとも、オメガ-ギタイの血もアルファ-ギタイの血と同じ様にタイムループが出来るのか?本来だったら、オメガ-ギタイは爆死してタイムループするはずだったのが、ケイジが自信の血を浴びてしまったため、タイムループ能力がオメガ-ギタイからケイジへ移ってしまい、オメガ-ギタイは全ての時間軸から消滅してしまい、ケイジだけがタイムループした。

オメガ-ギタイにもアルファ-ギタイと同じ死ねば自動的にタイムループが起きるが、自分の血を誰かが取り込むと同時にタイムループの能力も委譲してしまうのではないだろうか。だから、ラストではオメガ-ギタイのタイムループの能力がケイジに移ってしまい、オメガ-ギタイはタイムループ出来ず爆弾で爆死してすべての時間軸から消滅してしまった。

映画《オール・ユー・ニード・イズ・キル》まとめ

 自己ベスト10の中の一つ。ケイジがどんどん強くなり古参軍人のような風貌に変化していく描写がいい。ただ、新人であるはずのウィリアムの活躍ぶりに周囲が驚くシーンが少なすぎる。これから起こる未来を知っているケイジをいぶかしんだり、不思議がるシーンをもっと見たかった。

 しかし、激しいギタイとの戦闘シーン、敵であるギタイのデザイン、歩兵の着用するスーツといいアイテムも凝っていて、申し分なく楽しめた。

結局リタは『戦場の女神』の称号をもらったが、ケイジとカーター博士は何の功績も残さない時間までタイムループしてしまった。ケイジはリタ以上の戦果をあげ、そもそもカーター博士がいなければ、オメガ-ギタイの居場所が分からずじまいだったのだが。

カーター博士は、その後ギタイの論文を書いて世界中に認めらえるだろう。

ケイジはタイムループ以前の彼だったら、自分の功績を吹聴しまくるだろうが、今の彼はリタにだけ彼女と共に過ごした長い時間の事を話すだろう。

そして、記憶の戻らない記憶喪失のような彼女に二人の関係を話して聞かせるのだろう。だが、300回も恋人の死を見てきた彼女の気持ちを、戦争が終わった今のケイジに向かわせるのは大変だろうな。

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