映画《チェンジング》ネタバレ感想:闘わないアンジー、でも目力(めじから)は健在

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作品情報

原題:Changeling
公開年:2008年
製作国:アメリカ
上映時間:142分
ジャンル:ドラマ
監督:クリント・イーストウッド
評価:80

主要キャスト

クリスティン・コリンズ(アンジェリーナ・ジョリー)
 電話局で働くシングルマザー。仕事中に家を空けたすきに息子が行方不明になる。

グスタヴ・ブリーグレブ(ジョン・マルコヴィッチ)
 長老派教会の牧師。コリンズの苦境を助ける。

J.J.ジョーンズ(ジェフリー・ドノヴァン)
 ロサンゼルス市警の警部。青少年課。

ジェームズ・エドガー・デーヴィズ(コルム・フィオール)
 ロサンジェルス市警の本部長

ゴードン・ノースコット(ジェイソン・バドラー・ハーナー)
 複数の子供を誘拐した殺人犯。

レスター・ヤバラ刑事(マイケル・ケリー)
 ロサンゼルス市警の警官。一見頼りなさそうだが、独断で真実を追求する。

キャロル・デクスター(エイミー・ライアン)
 クリスティンが入れられた精神科病棟の患者。クリスティンを助けてくれる。

アール・W・ター医師(ピーター・ゲレッティ)
 警察に都合のいい診断をする医師。

保護した子供が別人。どういうこと?

 コリンズ(アンジェリーナ・ジョリー)が仕事に行っている間に、息子のウォルターがいなくなった。家じゅうを必死で探すが見当たらない。家の周囲もくまなく探すがどこにもいない。夜になりコリンズは警官をよこしてくれるようお願いするが、警察は取り合ってくれない。警察は、行方不明になってから24時間が経過しないと動かないという。そして「朝までには帰ってきますよ」無責任な返事をよこす。

15,16歳なら朝まで待つだろう。しかし、ウォルターはまだどう見ても6,7歳ぐらいだ。夜になっても帰って来ないのはおかしいだろう。

ウォルターがいなくなってから5ヵ月、遠く離れた州で見つかったとの連絡が入った。そして大勢の報道陣が見守る中涙の対面・・・、のはずがコリンズの様子がおかしい。「さあ息子さんですよ」と促すデーヴィズ市警本部長だが、コリンズは目の前の少年が自分の息子ウォルターではないという。目の前の少年は全くの別人だと。困惑する警察、それとも警察は困惑を装っているのだろうか。

あまりの警察への評判の悪さに、たまにはいい話を作らないと、と手事な少年をさもいなくなっていたコリンズの子供だと偽って連れてきたのではと、うがった見方をしてしまう。

コリンズは別人だと言い張るが、大勢の報道陣の手前何とか涙の再会を演出したい本部長は、無理やり親子の対面を実現させてしまう。ひどすぎる。母親の気持ちを踏みにじる無神経で、自己中心的なデーヴィズ本部長だ。

その後、次から次へと息子ではない証拠が現れる。身長がなんと7センチも低い。これは紛れもない別人だという証明になるだろう。コリンズは警察へそのことを訴えるが、警察から回された医師が、「過度のストレスで身長が縮むこともごくまれにある」という。なんじゃそりゃ。伸び盛りの子供が過度のストレスで背が7センチも低くなるか。

絶対人違いだと認めたくない警察は、言葉巧みに、時には威圧的に、しまいには脅してコリンを黙らせようとするが、黙っているようなコリンズではない。だって、最愛の息子の命が今まさに危険に晒されているのかもしれないのだから。この時コリンズは絶対ウォルターを見つけ出すと決意する。そして必ず今も生きていると信じている。

闘わないアンジー

一番の驚きは、あのアンジェリーナ・ジョリーがいっさい手を出さないこと、暴力に訴えないことだ。

行方不明になった自分の子供を探し出してほしいだけなのに、警察の高圧的で理不尽な言動にも決してパンチやキックは出さない。唯一、最後の最後に犯人の胸倉をつかんだが、あれは普通の母親だったら当然の行動だろう。

暴力を一切使わないアンジーだったが、目力(めじから)だけは健在だった。そして意思の強さも。デーヴィズ本部長からどんなに理不尽なことを言われようと決してい心が折れることはなかった。

警察がミスを認めたがらない結果が・・・

今ではこんなことはないのだろうが、当時のロス市警はすさまじいくらい堕落していたようだ。警官への賄賂や汚職は当たり前。正当な手続きを経ないまま銃殺もあり、一般市民の不満も最高潮に高まりつつあったようだ。

それにしても、デーヴィズ本部長のコリンズへの対応には虫唾が走る。デーヴィズ本部長はしょっぱなから警察への世間の印象を良くしようとすることと、自身の経歴の為しか頭にないような男だ。

コリンズが息子に再開した時から、別人だと訴えているにも関わらず警察のミスを認めようとしないばかりか、「コリンズは動揺しているから息子に見えないだけだ」となんとも間の抜けた理由を押し付けて来る。挙句の果てにはコリンズが普段から息子に冷たく当たり、息子が戻ってきたことを喜んでいないとまで言い出す始末。そして、ついにはコリンズが「精神的な病にかかり、警察に騙されたと主張し、別人を息子として押し付けられた。偏執病で被害妄想に苦しみ現実を把握できておらず危険な状態だ」として正気が戻るまで拘束が必要と精神科病棟へ強制的に入れられてしまった。

コリンズはただ、警察が間違いを認めて本当の息子を探し出してほしかっただけなのに。

警察が早くにミスを認めていれば、複数の少年を誘拐した犯人ゴードンにたどり着き、子供たちを救えたかもしれない。

まとめ

必ずどこかで親身になってくれる人が現れる。世の中の横暴に異を唱え正そうとしてくれる人が見ていてくれる。

グスダヴ牧師やヤバラ刑事、そしてウォルターの担任の教師や精神科病棟のキャロル。彼ら達は日ごろから警察の目に余る腐敗ぶりを何とかしたい、正したいと思っていた人たちだ。その人たちがコリンズの置かれた状況を知り、彼女の力になってくれた。

それは、コリンズが警察からのどんな横暴にも毅然とした態度で立ち向かう姿を見ていたからだ。そして逆に勇気をもらったのだろう。だからそんなコリンズを助けたいと思ったのだろう。

追記 

コリンズがローラースケートで仕事をしているシーンは驚いた。なるほど移動は早いだろう。今のように受けた電話を簡単に回せないからああいう方法が考え出されたのだろう。便利は便利だが上達するまで危険そうだ。

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