作品情報
原題:The Notebook
公開年:2004年
製作国:アメリカ
上映時間:123分
ジャンル:ラブストーリー
監督:ニック・カサヴェテス
評価:85
主要キャスト
ノア・カルフーン (ライアン・ゴズリング)
材木工場で働く青年。時給40セント。アメリカ南部のシーブルックで父を二人暮らし。
幼いころ吃音だったが、詩を朗読することで克服した。今でも詩の朗読を続けており、お気に入りはホイットマン。
アリー・ハミルトン (レイチェル・マクアダムス)
ノアと恋に落ちる。ニックネームは「アリソン」
裕福な家庭に育ち、習い事の毎日で忙しい。唯一の好きなことは絵を描くこと。
デューク (ジェームズ・ガーナー)
アリーにノアとアリーの恋愛物語を読んで聞かせる老人。
心臓に持病があり、1年半の内に2度の発作を起こしている。
アリー・カルフーン (ジーナ・ローランズ)
ノアの妻。認知症を患い、老人ホームに入所している。
デュークの読み聞かせても立っている物語は、他人の話だと思っている。
アン・ハミルトン (ジョアン・アレン)
アリーの母。
アリーが裕福でないノアと付き合うことに反対している。
ロン・ハモンド
アリーの婚約者。
ハモンド綿工業の一族で裕福な人物。
フランク・カルフーン (サム・シェパード)
ノアの父。
フィン (ケヴィン・コナリー)
ノアの友人。ノアと同じ材木工場で働いている。
ジョン・ハミルトン (デヴィッド・ソートン)
アリーの父。
アリーとノアの関係をひと夏の恋と考えている。
サラ・ツフィントン – (ヘザー・オールクィスト)
アリーの友人。フィンと仲がいい。
マーサ・ショウ -(ジェイミー・ブラウン)
ノアと体を重ねる関係。戦争未亡人。
ノアの心を自分に向かせたいと思っている。
鮮やかな色彩の風景
冒頭のシーンから印象的だ。真っ赤な夕日にそまる川を一人の男がボートを漕ぐ。
この後もたびたび、ノアとアリーの二人の愛情を象徴する美しい風景がたびたび登場するがいずれも感動的だ。
鮮やかな色彩に引き付けられる。
アルツハイマー型認知症の老女に読み聞かせをする老人
認知症の老女アリーに同じ年齢ぐらいの老人が一冊の本を読み聞かせる。内容はある二人の恋の物語。
そして、若いノアとアリーの出会いから物語は始まるわけだが、途中何度も物語を読み聞かせる施設でのシーンに切り替わる。
次第に、読み聞かせる老人はノアではないか、そうであってほしいと願ってくる。
17歳のノアとアリーの出会い
資産家のお嬢様のアリーと労働者階級のノアの出会いは、一方的なノアの一目惚れから始まった。
当初、アリーにとってノアは眼中にない存在だったが、ただ気を惹きたい一心のノアの無鉄砲なアプローチに根負けして、付き合うようになる。そして、次第に惹かれあう二人。
ノアのアリーへの攻勢がすごい。後先考えず、ただアリーの印象に強烈なインパクトを与えたい一心の行動は、若さゆえか。
若いって素晴らし。相手の家柄も、仕事も何をしていようが関係ない。ただ目の前の人が好きかどうかだけだ。
お互いの両親の知るところとなる
当然、資産家のアリーの両親は時給40セントのノアが娘には不釣り合いだと決めつける。そして、夏のバカンスのひと時の恋であり一時的なものにしてしまおうとする。
よくあるラブストーリーだが、ブレずにしっかりと描かれているので安心して見ていられる。
遠く離れたニューヨークへ行くアリーとアメリカ南部のシーブルックいるノア。引き離された二人だが、ノアは毎日欠かさず1年間、アリーに手紙を出し続きける。しかし、その手紙はアリーにもとには届かなかった。アリーの母親がその手紙をすべて隠してしまったいた。(さすがに捨てはしなかった)
アリーからの返事を待つノア。毎日手紙が来ていたことを知らずにいたアリー。次第に二人の心は離れていくが、常にどこか片隅にいつもお互いのことを思っていた。
しかし、よく1年間の返事の来ない手紙を出し続けられたものだと思う。1カ月、いや1週間も返事が来なかったら諦めてしまうが、ノアは違った。それほど、アリーへの想いが強かったのだろう。
年月が経つうちに、次第にあの頃の思い出は薄れたものになり、今の現実の生活が心の中を占拠する。
そして、偶然街で見かけたアリーが見知れぬ裕福そうな男性と親しげに接しているのを目撃してから、ノアの心の中にあったアリーへの想いが折れてしまう。
アリーに裏切られた思いのノアは、父が買い取ってくれた古びた屋敷を改装する。しかもそれは失恋した思いをぶつけるかのように。
偶然ノアはアリーを見かける。しかし親しげに見知らぬ男性と接している姿を目撃して強烈なショックを受ける。これはそう簡単には立ち直れない。
新聞でノアの記事を目にしたアリーは
偶然、ノアが新聞に載っているのを目にたアリーは、7年越しの想いが一気によみがえる。
アリーはノアが分かれた直後から、1年間も自分に毎日手紙を書いてくれているとは知らなかった。手紙すらくれないノアをあえて忘れようとしていたのだろう。
しかし、7年後の今、しかもロンとの結婚直前に今でもノアの事を思っている自分に気付いてしまう。そしていてもたってもいられず、詳細は明かさず婚約者のロンの許しを得て、ノアのもとへと向かう。
この時のアリーの気持ちは複雑だ。ロンを愛しているのは事実だし、結婚もしたいと思っている。しかし、このまま結婚しても、あれほど激しく愛したノアのこと忘れることはできない。別れ方が別れ方だから。お互い納得して別れたわけではないからだ。強制的に引き離された二人は、お互いのその後の連絡手段もアリーの母親に絶たれてしまった。
母の過去
アリーの母も同じ経験をしていたとは。しかし、母親は資産家の父を選んだ。それを後悔していないと言っているが、昔の愛した人を見ながら流した涙は今でも彼のことを少しは思っている表れだろ。しかし、娘には自分と同じ判断をしてほしいと強く願っている。
でも、母と娘は違う。アリーの人生はアリーのものであり、母の人生ではない。
このノアとアリーの関係を強制的に絶たれてしまったことが、逆効果のなって余計心に火が付いたのかもしれない。
アリーはノアに再開して、心の中を占拠するノアの存在が増していく。ロンと半々になった時、ノアの手紙を読む。これによって、アリーの心は決まった。
そうして、もう一つの物語。年老いたアリーに読み聞かせるうちに、この物語が自分自身の事だと気づくのだが、それがたった5分ぐらいしか記憶が続かない。なんて悲しく、辛い現実。これまでノアは何回、何十回読み聞かせたのだろう。そして、いつか奇跡が起きると信じて、しかし最後には突然アリーが豹変して絶望に突き落とされてしまう。
アリーが自分の事を思いだしてくれた時と忘れた時のなんて落差の激しいこと。
見ている方も感動から、奈落へ一気に落とされる気分だ。
まとめ
しかし、ラストの二人が一緒に一つのベッドで息絶えたシーンは幸せそうだった。つないだ両手がアリーの決断が間違っていなかったことを物語っている。
若い二人の恋愛物語を、年老いた妻に語り聞かせるという設定がいい。
しかも、妻は認知症で他人の恋愛話と思っているが、次第に昔の記憶がよみがえり、自分のことを物語てくれていたのだと、そして目の前にいるのはかつて熱烈に愛したノアだったと知るシーンが一番印象的だ。