映画《キングアーサー(2004年)》ネタバレ感想:アーサー王の為に自らの命を犠牲にする円卓の騎士たち

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作品情報

原題:king Arthur
公開年:2004年
製作国:アメリカ、アイルランド、イギリス
上映時間:126分
監督:アントワーン・フークア
評価:80

映画《キング・アーサー》キャスト

アーサー・カストゥス(クライヴ・オーウェン)
 サルマートの支配者。

グウィネヴィア(キーラ・ナイトレイ)
 アーサー王の王妃。

ランスロット(ヨアン・グリフィズ)
 円卓の騎士の一人。2枚目。

ボース(レイ・ウィンストン)
 円卓の騎士の一人。短剣の両刀使い。子供が11人いる。

ガラハッド(ヒュー・ダンシー)
 円卓の騎士の一人。縮れ毛。

ガウェイン(ジョエル・エドガートン)
 円卓の騎士の一人。アーサー王の甥。金髪。美人の妻がいる。

トリスタン(マッツ・ミケルセン)
 円卓の騎士の一人。長髪。短剣投げが得意。鷹使い。

ダゴネット(レイ・スティーヴンソン)
 円卓の騎士の一人。斧の使い手。怪力の持ち主。坊主頭。アーサ王に忠実。

マーリン(スティーヴン・ディレイン)
 ウォードの長。魔術師。

セルディック(ステラン・スカルスガルド)
 サクソン族の長。

シンリック(ティル・シュヴァイガー)
 セルディックの息子。

映画《キング・アーサー》あらすじ

舞台は中世ではなく、ローマ帝国が支配する古代末期。ローマ帝国軍出身といわれるアルトリゥス(アーサー王)がローマ軍のサルマティア人傭兵を率いる指揮官だったのではないかという新解釈のもと作られた作品。

アーサーと騎士たちは、約束の15年の兵役を終え晴れて自由に身になれると喜んでいたのもつかの間、帝都ローマから来たゲルマヌス司教の言葉に怒りを爆発させる。あと一働きすれば念願の自由の身にしてやると。そしてその条件とは「ハドリアヌスの城壁の北で暮らすローマ人貴族の息子アレクトの救出」。現在、ローマーが撤退するとの噂がひろまり、反乱軍のウォードや残虐なサクソン族に囲まれているという。15年の月日の中で最も過酷な戦いになるであろうこの救出作戦を成功させない限り、自由の身にはなれない。アーサーと騎士たちの運命は?

映画《キング・アーサー》感想

アーサーの葛藤

15年の間に円卓の騎士たちはアーサーを含め8名まで減ってしまっていた。そしてついに自由の身になれるその日に、ローマからの使者ゲルマヌス司教はとんでもない凶報をもたらした。

なんと、ゲルマヌス司教は自由になる前にもう一働きしろと。そうすれば今度こそ自由の身にしてやる。拒めばローマ軍の脱走者としてローマじゅうを逃げ回る羽目になると脅した。

困り果てるアーサー。自由の身になれると喜び一杯の騎士たちになんと説明したものか。ゲルマヌス司教の命令に従って、ローマ貴族の救出へ行けば何人の騎士が無事帰って来れるか。一方、ゲルマヌス司教の命令を拒めば命果てるまでローマじゅうを逃げ回ることになる。

ボースが言ったように、俺たちじゃなくローマ軍を使えばいいのに。いくら名をはせたアーサーと円卓の騎士といえども、成功する可能性は低い。ローンとしては、たとえ失敗してもアーサー達10名ぐらいの犠牲で済む。ローマ正規軍を投入すれば多大な犠牲がでる。ローマ正規軍を温存したかったのだろう。

ゲルマヌス司教の命令を聞いた騎士たちは、様々な反応を示す。怒り狂い喚き散らす者、内に怒りをため込み表に出さない者、どのような命令であろうと従順に従う者。各人行くしかないことは分かっているが、やりきれない気持ちをそれぞれの方法で抑え込むしかない。

騎士たちはローマの為ではなく、アーサーの為に命を賭けている。アーサーもそれが分っているだけに、ようやく自由の身になれるその日に残酷な命令を伝えなければならない現実に苦悩している。

ウォード

ブリテン島先住民のケルト系ブリトン人。率いるのはマリーンという魔術師。しかし、この作品で魔術を使ったシーンはなかった。勇猛果敢で死を恐れない。ハドリアヌスの城壁の北で暮らすがローマ軍が衰えてきていることに付け込まれて最近は城壁の南側にも表れる。全身を青く塗り黒い模様を描く。攻撃兵器も多彩で、弓矢やボーガン、火矢も使い火のついた投石器も使う。サクソン人に比べて攻撃のバリエーションも豊富だ。そして森の中でのゲリラ戦も得意ときている。

マリーンはアーサーをこっそり盗み見して、彼の人となりを観察していたようだ。そして、ローマと対抗するには、サクソン人と組むよりアーサーと組んだ方がこの先自分たちの部族の為になると踏んだのだろう。あのサクソン人と組めるとは思えないので、アーサーと組むか、独自にサクソン人と相対するかのどちらかだった。それなら、アーサーと組んで一気にサクソン人を潰してしまう方が手っ取り早い。

サクソン人

王というか、長はセルディック。絶対権力者だ。アーサーとは真逆のタイプ。息子や部下の意見は一切聞く耳もたない。征服した地の女を自分のモノにしようとした部下に、セルディックはそれを禁じる。善良な民の味方というわけではなく、ただ軟弱な子供が生まれるという理由で。部下やセルディックの息子は「征服した地の女を奪うのは権利だ」と主張すると、そういった部下を有無を言わさず切り捨てる。そして息子に対しても自分に意見を言うと、舌を切ると脅しをかける。

息子のシンリックがアーサーと騎士たちに手痛い敗北を喫してしまい、父セルディックの前でうなだれている時、息子の顔に傷をつけてその後釜に重臣をあてた。息子でなければ切り捨てられていたのだろう。そして、シンリックは降格された腹いせに左隣に座っていた重臣を殺した。あの場に居合わせたのだから、かなりの重臣のはずだが、殺されてもセルディックは笑っていた。どうゆう神経をしているのだろう。

息子が敗北に意気消沈せず、父から見放されたことで発奮してくれると期待したのだろうか。

この、サクソン族の集団はこの時代の複数誕生した蛮族としては特別特異質というわけではなかったのだろう。ごく一般的な部族なのだろう。どのような部族になるかは指導者次第というわけだ。

慈悲深く、民思いの長であれば民は穏やかな気持ちで生活できるかもしれないが、他部族に襲われ殺されてしまう可能性が高くなる。かたや、セルディックのような長であれば他部族に襲われる確率は減るかもしれないが絶えず長の機嫌を気にして生活しなければならない。

氷上の決戦

アーサーと騎士たちに導かれて避難してきた村人たちが氷上を渡る時、荷車がよく通過できたなと思う。人間は渡れても荷車は無理だろう。逆に荷車が渡れたら、誰でも渡れるだろうに。

氷上を前進してくるサクソン軍は、アーサーと騎士たちの計略にはまって、中央へと追い込まれていく、しかしそれでも氷は割れない。業を煮やしてた騎士の一人ダゴネットが単身氷上へと駆け出し、分厚い氷に自慢の斧を振り下ろす。何度も何度も。残った騎士たちはサクソン軍へ弓矢でもって援護射撃をするが、敵は氷を割れれまいと一斉にダゴネットへ矢の雨を降らす。

ついにダゴネットの一撃が氷に巨大な亀裂を走しらせ、サクソン軍は次々と割れた分厚い氷と共に水中へと没していく。そして、ダゴネットも冷たい水の中へ没しかけるのを急いで引き上げるも帰らぬ人となってしまった。とうとう一人目の犠牲者が出た。やはり、全員で帰還することは叶わなかっのだ。

ハドリアヌス城壁の闘い

数で押し通すサクソン軍に対して、アーサーとウォードの連合軍は数で劣る分奇策を使う。

最初は、少数のサクソン軍を城壁内へおびき寄せ、油を染みこませた草を複数もやし、あたり一面に煙幕を作る。サクソン軍は煙幕の向こうから突然現れる騎士になすすべなく切り倒されるだけだった。たった一人を残して全滅したサクソン軍の前衛部隊から、逃げ延びた男が悪魔の仕業と叫んだとたん、サクソン軍の重臣に即座に殺される。悪しき噂が広まってはいけないから。

サクソン軍本体は、前衛部隊がどうなったか分かっているだろうにやはり同じように全軍前へ進みはじめる。そこをすかさず、あらかじめ敵を分断するように撒いておいた油に一斉に火矢を放つ。

そして怒涛の攻撃。火矢の後には、投石器で油を染みこませた石を投げつける。そのあと敵がひるんだところで、一斉攻撃。あとは敵味方入り乱れての死闘が繰り広げられた。

この時トリスタンはセルディックに殺され、ランスロットはシンリックと相打ちになる。最後にセルディックとアーサーとの闘い。死闘を制したアーサーは3人の騎士の命と引き換えに、王となる。

映画《キング・アーサー》まとめ

アーサーの思い描いているローマはすでに滅んでた。巨大だが過去の遺物となりかけているローマ帝国は見限って、自分たちの新しい国を作っていくしかないと決心する。円卓の騎士という力強い仲間たちもいることだし、これからどんな困難が待ち受けていようと必ず乗り越えていけると確信しているのだろう。

ファンタジー色の一切ない歴史映画のような作品だ。

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