映画《メッセージ》あらすじネタバレ感想:穏やかに進行するファーストコンタクト

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《メッセージ》作品情報

原題:Arrival
公開年:2016年
製作国:アメリカ
上映時間:116分
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
評価:82

《メッセージ》主要キャスト

ルイーズ・バンクス(エイミー・アダムス):言語学者
イアン・ドネリー(ジェレミー・レナー):物理学者
ウェーバー(フォレスト・ウィテカー):アメリカ陸軍大佐

《メッセージ》あらすじ

 突如世界各地で12機の宇宙船が現れる。黒く、ひまわりの種を巨大にして縦に半分に割った形状で、しかも地面から10mぐらい浮いている。

 アメリカ軍からの依頼で、言語学者のルイーズ・バンクスは宇宙船内部の知的生命体の目的を探るよう指示される。

 物理学者のイアン・ドネリートと共に、重力を無視した宇宙船内部に侵入し2体の知的生命体と接触を試みるがなかなか思うよに意思の疎通がはかどらない。そんな時、ルイーズはある方法で試してみると・・・

《メッセージ》ネタバレ感想

ルイーズの記憶?

 ラストはとてつもない衝撃と感動をうけた。

 ルイーズは初めから未来を見ることができたのだろか、それとも知的生命体が現れてから見るようになったのだろか。
 てっきり子供を亡くしたのは過去出来事かと思っていた。しかしこれから起こることだったとは。
 ひんぱんに知的生命体と意思の疎通をはからろうとするルイーズ。フラッシュバックのように娘の誕生から若くして亡くなるまでの記憶を思い出すのじゃなく、これから起こることを見ていたのだ。
 そういうことだったのか。あまりにもひんぱんに娘のことを思い出すので、知的生命たとの接触によるストレスから過去と思い出したくない記憶が呼び覚まされているのかと思っていたが、そうじゃなかった。
 娘のとのやりとり(未来の出来事)の中に知的生命体と意思の疎通を図る答えがたびたび出てきて、それを手掛かりにルイーズは彼らの地球に来た目的を知ることができたのだ。
 ややこしいが、面白い手法だ。これから自分に起こることの中に答えがある。

 主人公が中国のシャン上将と未来で会話しているシーンではなぜか涙が溢れてきた。まさかという思いと、謎が解けそうな期待と、これから主人公が人類の未来に大きく関わって行くことへの可能性とで。

未知の生命体が突然現れたら

 宇宙船は12の国々に1個ずつ現れたがわけだが、国によって対応の仕方がさまざまだ。
 アメリカは何とか未知の生命体の真意を探ろうと努力するが、中国は業を煮やしてやられる前に倒してしまえとばかりに戦線布告して武力に頼ろうとする。
 相手の武力も分らずこっちから攻撃を仕掛けようとするとは、浅はかとしか言いようがない。
 宇宙船はどから来て、どのようにして来たのかも分からないし、しかもあれだけの巨体が宙に浮いているのだから彼らの科学技術力は人類のそれよりはるかに先を行っているだろう。ということは武力でもはるかに相手が上回っているということだ。そんな相手に攻撃を仕掛けて、どれほどの反撃を食らうか想像できないのだろうか。
 その木になれば、地球の文明など一瞬で崩壊させられるだろう。

 北海道にも1個来ていたようだが、日本政府の場合どうどうするだろうか。
 慎重な日本人のことだし、少しずつ安全を確かめて進めていくことだろう。そしてアメリカ政府と連絡を取り合い、日本が先に目新しいことはしないと思う。映像的には面白くないだろうから、映画のかなでは全然登場しなかった。

専門家が少ない

 チームの専門家が言語学者と物理学者の二人というのが少ない気がする。もっと違う分野の専門家もいていいのではないだろうか。

 例えば、生物学者や医学者、心理学者。相手は未知の生命体だから意思疎通は言葉だけとは限らない。身振りかもしれないし、もしかしたらテレパシーを使うかもしれない。
 そして数学者。数学は宇宙の法則の基本でどのような未知の生命体でも数学を基礎に科学を発展させていると思う。宇宙の共通の言語と言われている数学を扱う数学者は必須だろう。他の国では数学を使って意思の疎通を図っていたところもあったようだ。

 エイリアンとの派手な戦闘もなく。唯一、浅はかな将校が賛同者とともに爆弾をしかけて爆発したくらいだ。しかし、いざ未確認物体が地球上に現れたら、株価は暴落、物価は上昇して経済が不安定になり、治安も悪化して、国によっては戒厳令を敷かなければならなくなるだろう。

ヘプタポッドの目的とは


 人類側の対応の仕方も相手が友好的なエイリアンか、それとも「インディペンデンスデイ」のように攻撃的なエイリアンかによって全く違うものになってくる。
 まずは相手の目的が分からないことにはこっちとしても対応のしようがないので、向こうからいきなり攻撃を仕掛けてこなければ、まず何とか意思の疎通を図ることが第一になるのだろう。

 なんのために彼らは地球に来たのか? 地球侵略の為かそれとも友好の為か? 友好の為なら12個ではなく1個でいいのだはないか。次から次へと疑問が湧いてくるが、12ヶ国はそれぞれ競い合うように独自の方法でヘプタポッドと接触を試みる。

 向こうからは進んで接触を試みようとはしてこない。ほとんどルイーズが先に疑問を投げかけて、その答えを返してくるだけだ。

 そしてラストの知的生命体からのメッセージは

 「こんなにも狭い世界でいつまでも争っている場合ではない。宇宙は広い。人類の想像を絶する世界が広がっている。同じ地に住む者同士が殺しあっていてどうする?その先には自滅しかない」

 ということだろうか?

 最後の異星人が言った「3000年後に人類に救われる」というのはどういう意味なのだろう。
 ヘプタポッド達が何らかの事情で絶滅とか危機的状況に陥り、その時人類が彼らを救うということのように受け取れる。ということは、人類は3000年後にはヘプタポッドを救うことができるような進化を遂げているということか。すごい、自滅していないのだ。それとも、これからもたびたび人類が滅びそうになるとヘプタポッドが現れてメッセージを伝えに来るのか。

《メッセージ》まとめ

 ひさびさにベスト3に入る作品に出会った。
 地球外知的生命と人類の接触、相手の真意によっては宇宙戦争へと展開していくのだが、この作品は終始静かにそして穏やかに物語が流れていく。
 アメリカ軍も宇宙船の周囲を威嚇するように取り囲むのではなく、相手の真意を確かめる為のチームを送り出す前線基地だけだ。

 映画『コンタクト』もそうだが、バトルを繰り広げなくても面白い地球外知的生命体の作品ができるのだと改めた想った。

 しかし、監督のドゥニ・ヴィルヌーグは『ブレードランナー2049』といいすごい才能の持ち主だ。もっと監督の他のSF作品が見たい。

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