《オーロラの彼方へ》作品情報
原題:Frequency
公開年:2000年
製作国:アメリカ
上映時間:117分
評価:85
タイムパラドックスを題材にしたSFファンタジー・サスペンス
《オーロラの彼方へ》あらすじ
消防士のフランクは上司の命令を無視して、時には危険を省みず火災現場へ入っていく向こう見ずな性格。
ある晩ニューヨークの夜空にはめずらしオーロラが出現した。そしてフランクはその数日後に古倉庫の火災現場で殉職する。
30年後、フランクの息子ジョン(”チビ隊長”=フランクによくそう呼ばれいた)はNY市警殺人課の刑事として働いていた。夜空にはめずらしいオーロラが出る晩、親友のゴードが息子と遊びに来ていた。ゴートの息子は父フランクの遺品箱を見つけその中からアマチュア無線機を引っ張りだす。なつかしさから、その無線機を昔父が置いていた時と同じ場所に置き、適当にいじっていると突然ん誰かと繋がる。それは、30年前のまだ殉職していない父フランクだった。
30年の時を超えて無線が繋がっていることを信じない父は、ジョンのことを不審者扱いするが、父の命を助けたいジョンは今信じられないことが、現実に起きていると説明する。
半信半疑のフランクはジョンの言葉を気にかけながら火災現場へ向かうが、途中野球中継の結果を当てたことで信じ始める。そして、ジョンの言葉どおり別の脱出方で命が助かるのだが、父が殉職しなかったことでパラドックスが起きる。ジョンの母、ジュリアが連続殺人の被害者になってしまうのだ。
今度は母を救うため、父と息子の30年の時間を超えた捜査が始まる。
《オーロラの彼方へ》感想
オーロラの夜の奇跡
時間旅行するのではなく、アマチュア無線機を使って30年の時を超えて繋がるという発想が面白い。時間は30年の隔たりがあるが場所は同じ。しかも、繋がったのは親子。しかも、父は殉職する直前だ。他人だったら、信じてもらえないが、親子なので共通の出来事が証拠になる。
めったに起きないニューヨークのオーロラ。オーロラは地球の地磁気が影響しているので、なんとなく無線にも影響を与えそうな気になる。しかも、めったに起きないニューヨークだから、30年の時を超えて繋がるんじゃないかと思えてくる。
SFは到底あり得ないと思える話でも、見ているうちにその作品に引き込まれていっしまい、疑っていたとんでもない現象でさえ、次第に当然のことのように思えてくるから不思議だ。
フランクが参考人として警察に連行された時も、未来の息子と話したことを親友の黒人警官に説明するわけだが全く信じてもらえない。普通は誰も信じないだろう。でも事実を知っているこっちは、[黒人警官さん早く野球中継を見て」と、そして「フランクの言っていることを信じてほしい」と願ってしまう。
ジョンの人生
ジョンは結婚の約束をした恋人サムと破局寸前でけんかが絶えないようだ。ジョンは自分をかえられないといい、サムはジョンが変わろうとしないという。刑事という仕事柄恋人とすれ違いの生活が続いているのだろうか。しかし、刑事の仕事でも、上司から「もっとちゃんとやれよ」という風に見られているようだ。どうもジョンに問題があるようだ。
30年前に父を亡くしたことに原因があるのだろうか。
しかし、父と協力して母を殺害した犯人を突き止め、やっつけたことはジョンのその後の人生を大きく変えた。母は健在だし、父も生きている。これほど幸せなことがあるだろうか。
歴史が変わる瞬間のジョン
過去が変わる瞬間を分かるのは、ジョンだけのようだ。そして、以前の出来事は夢のような状態で、それが次第に薄れてしまい、最後には記憶から消えてしまうのだろう。
そしてパラドックスが起きたとき気づくのもジョンだけだ。
この以前の出来事が夢のような感じというのが面白い。タイムパラドックスが起きた場合、この以前の出来事と、今の出来事が記憶の中でどのように処理されるのかが疑問だったが、こういうやり方もあるのかと思った。
タイムパラドックス
フランクがジョンの言葉に従い、殉職しなかったことによって、母ジュリアが連続殺人の被害者になってしまう。フランクが殉職するはずだった時間軸から、ジュリアが殺害される時間軸にズレてしまった。しかも前の時間軸では被害者が3人だったのに、ズレた時間軸では被害者が母を含めて10人に。そして、フランクがその殺人犯の容疑者に。
真犯人にはめられたわけだが、免許証を取られた時に気付きそうなものだが。犯人は財布ごと取らずに、免許証だけ抜いていったのだから。
このタイムパラドックスに気付いているのは、無線で会話したフランクとジョンだけだ。しかも、フランクは30年前に過去にいるので、以前とどう変わったかがわかるのはジョンだけ。ほかの人は変わったという認識はないし、フランクは過去の人なの自分の意思ではなく、ジョンの言葉に従って行動する。
フランクの行動によって複数の別の時間軸にどんどん変わっていくのだろうか。
《オーロラの彼方へ》まとめ
父フランクの息子に対する深い愛情、息子ジョンの父に対する愛情。
父と息子それぞれの妻そして母に対する愛情。いずれもただ生きていてほしいと願う、
愛に満ち溢れた作品だ。
そして、時間を超えるというSF的要素と、家族愛というドラマと、殺人犯の捜査というサスペンスが混ざり合ったいろんな方向から楽しめる作品。
そしてラスト、フランクの登場で、「おぉぉぉ、生きている」と言ってしまった。
見終わった後、心が温まる。
最後はチビ隊長ジュニアも見れたことだし、久しぶりに涙が出た。