《パシフィックリム》作品情報
原題:Pacific Rim
公開年:2013年
製作国:アメリカ
上映時間:132分
監督:ギレルモ・デル・トロ
評価:85
《パシフィックリム》主要キャスト
ローリー・ベケット(チャーリー・ハナム)
主人公。イエーガーのパイロット
マコ・モリ(菊池凛子)
ヒロイン。イエーガーの技術者兼パイロット。ローリーとタッグを組む。
スタッカー・ペントコスト(イドリス・エルバ)
PPDC司令官。第1世代イエーガーの元パイロット。幼いマコを怪獣から救う。
ハーク・ハンセン(マックス・マルティーニ)
『ストライカー・エウレカ』のオーストラリア人パイロット。
チャック・ハンセン(ロバート・カジンスキー)
『ストライカー・エウレカ』のオーストラリア人パイロット。ハークの息子。
一度軍を引退したローリーや新米パイロットのマコに侮蔑感や嫌悪感をあらわにする。
《パシフィックリム》あらすじ
太平洋の海底から突然怪獣と呼ばれる巨大生物が出現した。怪獣は瞬く間に各港湾都市を蹂躙する。各国政府はこれまでのしがらみを捨てて、PPDC(環太平洋防衛軍)を結成し、この怪獣に対抗するための巨大ロボット『イェーガー』を開発する。
始めこそ、順調に怪獣を退けてきたが、次第に怪獣は巨大化し進化してきていた。しかも、出現する感覚も短くなってきていた。
追い込まれた人類は、残り4機の『イエーガー』を使い、最終決戦をを挑もうと決意するが、それには『ジプシー・デンジャー』の再起動が必要だった。
《パシフィックリム》ネタバレ感想
巨大ロボットの戦いをアニメで見ていた子供の頃を思い出す。それが実写化された映像で見れるなんて、夢のような景色だ。見ていてワクワクが止まらない。
バトルシーンが暗いので、逆に想像力が膨らむ。今イエーガーはどんな攻撃をしたのか?とか、あの怪獣の頭や体はどうなっているのか?とか、どんどんイメージが広がっていく。
シャッタードームがすばらしい。ローリーがペントコストにスカウトされて、シャッタードームに連れてこられたとき、中に入った瞬間圧倒された。
何がどうなっいるのか訳が分からない巨大な空間に、大勢の人々が発する喧騒、そして資材や部品が壁面や通路に所狭しと置いてあって、その中に巨大なイエーガーが鎮座している。
イエーガーと怪獣のバトルにしても、街がどれだけ破壊されようがお構いなし。人類には後がないのだから、多少ビルや橋が破壊されようが、今、目の前にいるこの怪獣をやっつけなければ、人類に明日はない。だから多少の犠牲は覚悟してもらうしかない。でも、建造物は壊したとしても、人の命は何物にも代えがたい。はじめのシーンではちゃんと、漁船を助けている。それによって、負けそうになったかもしれないのに。
怪獣
巨大怪獣は宇宙から侵略してきたのではなく、海底からやって来た。面白い設定だ。たいてい未知の地球外生物は宇宙から来るものと決まっている。その常識を覆したのが、海底の裂け目の海溝からこれらは現れた。普通に考えたら、地底からこんな巨大なものが出てくるのはおかしいのだが、この巨大怪獣たちは、次元の通路を海溝につないで別の世界からやって来たらしい。最初はカテゴリー1の小さく弱い怪獣で地球を偵察して、徐々にカテゴリー2,3と大きく強い怪獣を送り込んできた。弱い奴から現れたので、人類としてはその間に怪獣に対抗する巨大ロボット『イェーガー』を作る時間が稼げて好都合だったわけだ。もし、最初からカテゴリー4の怪獣が現れていたら、人類はそれに対応する間もなくあっという間に追い詰められて、早々に滅んでいたかもしれない。
怪獣の攻撃は、巨体にあわせた破壊力と口から吐く酸性の液体。この液体を浴びると、イエーガーでさえもあっけなく溶けてしまう。
イエーガー
主人公が操るイエーガーの『ジプシー・デンジャー』。カッコよすぎる。ずんぐりむっくりりして、重そうで、動きも鈍くてでもそこがいい。決してエヴァン〇リオンと比べてはいけない。カッコよさの基準が全く違うのだから。
イエーガーを操縦するのは、空軍のエリート中エリートみたいな存在か。過去に何体怪獣を倒したかで、その操縦者の英雄度が計られる。多ければ多いほどすごいことなのだが、ローリーは戦いの中で、突然怪獣にパートナーの兄をさらわれ、瀕死の状態の『ジプシー・デンジャー』を一人で操縦して生き残った。本来、イエーガーは二人のパイロットが操縦する仕組みになっている。一人ではあまりにも負担が大きすぎて、耐えられないためだ。ローリーのすごさを知っているのは、かつて自分も一人で操縦したことのあるテンペストだけだった。
ベケットとマコが乗り込むポットが降下して、イエーガー本体にドッキング。これはまさしく、あのマジンガーZではないか。子供のころ画面に喰いつくようして見ていた、色鉛筆で描きまくったマジンガーZ。それが、実写可されたように目の前で巨体を動かしている。
「ロケットパンチ」と叫んで繰り出した右ひじからは、炎が噴き出ていた? でも手首は取れずにそのままだった。確かに「ロケットパンチ」と聞こえたし、パンチを怪獣に喰らわしていたし、ひじのあたりから炎が出ていたがあれじゃない。手首からさきが、ロケットのように炎を吹き出しながら敵めがけて飛んでいく。それが「ロケットパンチ」だ。
過去には30体のイエーガーがあったらしいが、現在は4体しか残っていない。
『ジプシー・デンジャー』
アメリカ製の第3世代イエーガー。身長79メートル。重量1980トン。
パイロット:ローリー・ベケット、マコ・モリ
パイロットは《ドリフト》という神経接続を行う為、本来親子や兄弟、夫婦の関係である方が同調しやすい。しかし、ローリーとマコは他人であるにも関わらず、最初からすんなり《ドリフト》できた。よっぽど相性が良かったのだろう。ラストではかなり親密になりそうだったし。
5年前、怪獣ナイフヘッドと交戦し大破。スックラップヤードで野ざらしになっていたのを、最後の反転攻勢の為に引っ張り出された。外観はアメリカらしいガタイのいい体形。こわざを使うのではなく、格闘技戦の力で押しまくるタイプ。改修後、本来のスペックを大幅に超えており、性能的には第5.5世代と言える。ただのパンチでさえカテゴリー4の怪獣に効いているシーンがあった。このイエーガーだけアナログの原子力式動力炉で動いており、「歩く原子炉」と呼ばれている。
武装
プラズマキャノン:手首から先が変形し、両手からプラズマを発射することができる。改修後、チャージ時間が短縮され連続発射が可能になった。
エルボーロケット:「ロケットパンチ」と言っていた攻撃。ひじの部分にロケット・ブースターが内蔵されており、通常よりの大幅に加速されてパンチを叩き込むことが出来る。
蛇腹剣チェーンソード:改修の際、マコによって追加された武装。
ボルテックス・タービン:胸のタービンから超高熱を放射する。
『ストライカー・エウレカ』
唯一の最新式第5世代イエーガー。オーストラリア製。身長70メートル。重量1850トン。
パイロット:ハンセン親子(ハーク、チャック)
世界最強のイエーガー。倒した怪獣も11体と群を抜いている。ヘルメットやプロテクターをつけたような外観はアメリカンフットボール選手のよう。プロポーションも人型に近く引き締まった印象だ。最新型であるためパイロットの反応速度も速く、接近戦では無敵。
武装(遠近両方の敵に対応可能)
ブラスナックル:メリケンサックのようなもの。両こぶしを耐熱性の素材で覆われている。
スティングブレード:高温で怪獣の外皮を焼き切るでかいハサミのようなもの。
エア・ミサイル:胸部に内蔵された6連装対怪獣ミサイル。至近距離でも発射可能。
『クリムゾン・タイフーン』(中国語名は暴風赤紅)
3本の腕(右腕が2本、左腕が1本)を持ち、脚部も逆関節型の異形の第4世代イエーガー。中国製。76メートル。1722トン。
パイロット:タン兄弟(チャン、ジー、フン)
チタン合金でできており、間接部分には多数のブースターを内蔵している。そのため動作がスピーディーで複雑な攻撃ができる。
技
雷雲旋風拳(サンダークラウド・フォーメーション):身軽さと機体の性能を生かした奇抜な動作での戦法。
クリムゾン・タイフーンと怪獣のバトルシーンが少なかったのが残念。中国武術のような動きで戦うのだろうか。右腕が分岐した異形のイエーガーvs怪獣の戦いがもっと見たかった。それにいろいろ武装があるらしいが使われなかったのも残念だ。
『チェルノ・アルファ』
重装甲の第1世代イエーガー。ロシア製。身長85メートル。重量2412トン。
パイロット:カイダノフスキー夫妻
虚無僧を思わせる巨大な頭部には原子炉が収納されている。コックピットは胸のオレンジ色の部分。旧式の為、脱出装置はない。最も長く活躍しているイエーガー。しかし、出番が少なく悲惨なやられ方をしてしまった。
重量が他のイエーガーをはるかに上回っているため、機動性が極めて低い。しかしそれを補って余りあるのが重量を生かした破壊力だ。
武装は巨大なこぶし、そしてそこに装備された高圧電流発生装置。腕に内蔵されたピストンで加速された鉄拳を怪獣に叩きつける。
見るからに初期のタイプと分かるボディ。洗練された第5世代とは違い、見た目よりとりあえず怪獣に対抗できるような巨大兵器を作ろうとしたのがうかがえる。でもこういう第1世代から進化していく過程がハッキリしているのでよりリアリティが増してくる。
「イエーガー、怪獣ともに重すぎるのでは?」と思っていたが、怪獣を解剖した際に「反重力装置」を搭載していることが判明して、イエーガーにもそれが搭載されているらしい。だから、イエーガーをヘリで楽々運べているのだ。
《パシフィックリム》まとめ
非常におもしろい作品。なつかしさとワクワク感とが入り混じった感覚を覚えた。日本じゃなくアメリカでこのような映画が作られるとは思ってもいなかった。イエーガー、怪獣はもとより、シャッタードームや破壊される都市などの背景もすべてが精密に作りこまれている。