映画《きみがぼくを見つけた日》ネタバレ感想:タイムトラベル・ラブストーリー

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作品情報

原題:The Time Traveler’s Wife
公開年:2009年
製作国:アメリカ
上映時間:110分
ジャンル:SF、ラブストーリー
監督:ロベルト・シュヴェンケ
評価:83

主要キャスト

クレア ( レイチェル・マクアダムス
裕福な家庭出身の芸術家。
6歳の時に、未来からやって来たヘンリーに恋して以来リアルなヘンリーに出会うことを待ち焦がれている。

ヘンリー ( エリック・バナ
時空を行き来できる体質を持つ。しかし、じぶんの意思で行き来する事はできない。

リチャード ( アーリス・ハワード
ヘンリーの父。元オーケストラのバイオリニスト。妻を事故で無くして以来立ち直れずにいる。

アネット(ミッシェル・ノルデン)
ヘンリーの母。歌手。ヘンリーが6歳の時の自動車事故で命を落とす。

ゴメス ロン・リビングストン
ヘンリーとクレアの友人。チャリスと付き合っている。
ヘンリーがタイムトラベルするのを目の当たりにし、それ以降友人になる。

チャリス(ジェーン・マクリーン)
クレアのルームメイト。ゴメスと交際中。

ケンドリック博士スティーヴン・トボロウスキー
遺伝学専門の博士。時間と遺伝の研究をしている。ヘンリーの依頼を受けて彼の時間旅行症の研究をしている。

アルバ(テイタム・マッキャン)
ヘンリーとクレアの娘。快活で頭がいい。


ヘンリー(特殊能力を持っているが故、自分の死期を知ってしまう)

自分の死ぬ場面を目の当たりにすることほど残酷なことはないだろう。時間旅行の能力がある主人公ヘンリーはそれを見てしまう。辛すぎる。

自分が裸で倒れ腹部に傷を負っている。銃で撃たれたようだ。周囲にはクレアと娘のアルバそして友人のゴメス夫妻も見守っている.

この時のアルバはまだ5歳だ。ヘンリーは娘の花嫁姿も見れずに別れなければならない。
これは自分の死と同じくらい辛くて残酷だ。

自分が死ぬと分かっている日、ヘンリーはクレアが寂しくないようにとわざわざ大勢の人を家に招いた。

日本人的感覚からすると、こんな日に人を呼ばなくても、家族だけで最後を看取りたいという気持ちが強いと思う。せめて、ゴメス夫妻だけでよかったのではと思ってしまう。

しかし、ヘンリーは妻の為に、寂しくないようにと大勢の知人を招いた。大騒ぎになるのは分かっていただろうが。

ヘンリーは、未来へも頻繁に時間旅行していたから、大人になったアルバや孫ともすでに会っていたのかもしれない。

ヘンリーが初めて時間旅行を自覚したのは6歳の時。母親の運転する車が事故を起こしたときだ。

その時母は亡くなってしまったが、後部座席の乗っていたヘンリーは突然時間旅行を体験し事故を免れる。
この時から、時間旅行の能力が目覚めるわけだが、厄介なのが自分でいつその時訪れるのかが分からないことだ。

いつ時間旅行してしまうか、事前に分かればそれなりの心の準備もできるだろうが、いつどこで起こるか分からない。人の目の前で突然服だけ残して消えてしまうことになる。これはまずい。

だから、ひっそりと司書というなるべく目立たない仕事をしているのだろう。
しかし、よく今まで周囲に隠してこれたものだと思う。当然、人前で消えてしまったこともあっただろう。

クレアとの出会いはシカゴのニューベリー図書館で司書をしているときだが、このときのヘンリーはクレアに会うのが初めてだ。

しかし、クレアはもっと年上のヘンリーと6歳の時から会っている。そんな不思議な出会いから二人の関係が始まる。クレアにとってもリアルな(同時代に生きている)ヘンリーと出会うのはこの時が初めてだ。

この時の、クレアとヘンリーのギャップが面白い。相手のことをよく知っているクレアに対して、相手を全く知らないヘンリー。そして、できるだけ初対面として接してほしいと頼むヘンリー。

でも自分を抑えきれずに気持ちが暴走しそうになるクレア。こういう演技はレイチェル・マクアダムスはうまい。

クレア(6歳のときから運命の人との出会いを待ち続ける)

資産家の家に生まれたようだ。

リアルのヘンリーに会える日を心待ちにしていた。時間旅行者でないクレアは今まで未来から現れるヘンリーを待つしかなかった。6歳の時から。まちびしい。

しかしこれからは目の前からヘンリーが突然消えることになる。長いと2週間帰って来ないこともある。なんか、長期出張に行っている夫を待っているようだ。しかも、いつ帰ってくるか分からない夫を。

結婚式では、またまたヘンリーが消えてしまい、代わりに未来から老けたヘンリーが現れる。どうも、クレアは年上好みのようだ。白髪交じりのヘンリーでもまんざらでもなさそうだし、6歳の時初めて出会ったヘンリーに将来お嫁さんにしてほしいことを言っているし。

めでたく子供を授かった二人に試練が待ち受ける。2回妊娠したが2回とも流産してしまう。クレアのお腹の中の赤ちゃんは、時間旅行をして過去か未来へのどこかへ行ってしまったようだ。これは可哀想すぎる。生まる前にどこかの時代へ出現してしまうのだからあまりにも残酷だ。だから、ヘンリーはクレアに内緒でパイプカットしてしまうのだが、これにはクレアも当然怒るだろう。相談もなしに勝手に子供を作れないようにしてしまうとは。

これでもう自分たちの子供は持てない悲嘆にくれるクレアの前に、過去の若いヘンリーが現れる。そして関係を持ちクレアは妊娠。

なんてうまい具合にヘンリーが現れるのか。そして、ヘンリーもその時の記憶があるし、同一人物だから浮気ではないというクレアにも二の句が継げないヘンリーだった。

アルバ(父の遺伝子を受け継いで特殊能力を持つ)

父より能力が進化している。時間旅行の時代と場所それにタイミングもコントロールできるようトレーニングをしているという。

祖父や祖母にも会いに行っているようだから、ヘンリーにも会いに行っているのだろう。しかし、ヘンリーの前に現れたのはずいぶん後になってからだから、こっそり隠れて見ていたのだろうか。

ケンドリック博士にも相談しているのだろう。

様々な時代に行き、いろんな人と出会っているようだ。

聡明でしっかりしている。しかも、母や祖父母から芸術の素質を受け継いでるアルバは将来どのような女性になるのだろうか。

時間旅行

ヘンリーは自分の意思とは関係なく、未来や過去へタイムトラベルする。衣服は一緒に移動しないため着いた先では裸の状態だ。よって、現地調達しなけらばならず、借りたり、時には盗んだりしなければ不審者扱いされてしまう。

この方がリアルだ。身に着けてるモノも一緒に時間旅行するということは、接触している人も一緒に時間旅行してしまうことになるだろうから。

過去の自分と出会い、しかも接触するには大丈夫なようだ。他のSF作品である対消滅とか起きないようだ。

ヘンリーと娘が過去や未来へ移動しても未来は全く変わらないようだ。いやむしろ変えたくても変えられない。

時間改変やタイムパラドックスは起こらないことになっている。ヘンリーにとっての未来はすでに起きたことであり、決して変えることはできないものになっている。

ヘンリーが自動車事故で無くなった母を救おうと何百回も変えようとしたようだが、結局未来を変えることはできなかった。

ヘンリーの時間旅行症は遺伝的なものだという。ヘンリーの父や母には時間旅行症はなかったから、もっと前の先祖にはいたのだろうか。それとも、ヘンリーに突然現れたのだろうか。

しかし娘にはしっかり受け継がれている。それとクレアが2回流産したことを見るとやはり遺伝するようだ。そして、子のクレアや孫の世代では行きたい場所や時代を自由にコントロールして、そのあとの世代ではどんなことになっているだろうか。

まとめ

過去や未来にタイムトラベルできるが未来を変えることはできない。どんなことをしても未来を変えることはできない。では、どうして主人公は時間旅行の能力を授かったのだろうか?

能力ではなく、病気の一種なのだろうか。時間旅行症という言葉が出てきていた。自分の意思ではどうすることもできないので病気と言えなくもないが、アルバはそれを変えようとしている。

大人になったアルバの場合、病気とは言えないようになっているだろう。そして、何世代か後には未来を変えることが出来るようになるかもしれない。

ラストだけではなく、何度も感動する場面が訪れる。ヘンリーが母の形見の指輪をベッドで寝ているクレアの指にそっとはめるシーン。

ヘンリーの前に未来からいたアルバに出会えるシーン。子供はもう授からないと悲嘆に暮れていた時だけに、感動はひとしおだ。

クレアがアルバからヘンリーの死期を告げられる瞬間。

花火が上がる夜、親友ゴメスやクレアとの別れの日。

何度も何度も心を震わせられる作品だった。

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