映画《インポッシブル》ネタバレ感想:家族愛とディザスタームービーの王道

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作品情報

原題:Lo Imposibel
公開年:2012年
製作国:スペイン
上映時間:113分
ジャンル:ドラマ/ディザスター
監督:J・A・バヨナ
評価:85

主要キャスト

マリア・ベネット(ナオミ・ワッツ)  
 元医師の三人の息子を持つ母親
ヘンリー(ユアン・マクレガー)  
 マリアの夫
ルーカス(トム・ホランド)      
 マリアとヘンリーの長男
トーマス(サミュエル・ジョスリン)  
 マリアとヘンリーの次男
サイモン(オークリー・ペンダーガスト)
 マリアとヘンリーの三男
ダニエル
 一人、木の上で助けを待つこども。マリアとルーカスが助ける

あらすじ

2004年のスマトラ島沖地震の実話をもとにしている作品。クリスマスにタイへバカンスに来ていたスペイン人の5人家族。地震による津波で一瞬のうちに飲み込まれ、離れ離れになってしまう。それぞれ生きていることを信じて必死で探す父と母、そして長男のルーカス。無事家族は再開することが出来るのか。

ルーカス、ダニエルを助ける

遠くから助けを求める子供の声。

マリアが「助けないと」と言うと、ルーカスは「また今度いつ津波が襲ってくるか分からない」と人の事より、自分たちが助かることを優先しようとする。

しかし、母のマリアは今この時、弟たちもどこかで助けを求めているかもしれないとルーカスを諭す。

ルーカスの気持ちもよく分かる。ようやく命が助かった今は人の事よりも自分の命を優先したくなる、一分一秒でも早く安全な場所に移動したいと思っているのに、人を助けようとする母の言葉に反発してしまう。

大人でさえ、自分の命が危険にさらされている時に人の身を案ずるのは簡単なことではない。

しかし、医師であり子供を持つ母であるマリアは息子に助けを求めている人がいれば、そして助けられるのが自分たちしかいない場合、助けるのが当然だということをルーカスに分かってほしくてダニエルを助けに行く。やはり母は強い。

その後、ルーカスはマリアが入院した病院で父親に抱かれているダニエルを偶然見かける。ルーカスは自分たちがとった行動は正しかったのだと確信しただろう。そして、心の中が温かくなっただろう。見ている方もジーンときた。

ヘンリー、次男と三男を残してマリアとルーカスを捜しに行く

またいつ津波が襲ってくるか分からない場所で、行方が分からなくなった家族を探すのは危険だ。しかし、今頃助けを求めているかもしれないと思うといてもたってもいられなくなてしまう。

本当は、見つかった二人の息子と一緒に、避難所や、病院を探した方が良いのだが。マリアもルーカスもどこかの病院や避難所にいる可能性もあるのだから。

72時間という制約がある以上、その時間を越えてしまうと助かった命も助からなくない。今この時も、どこかで瓦礫に挟まれて身動きが取れなくなっているかもしれない。大けがを負って一人耐えているかもしれない。そう思ってしまうと、まずは72時間が過ぎるまで、被災地を探した方が良いのではないかとも考えてしまう。

先に、助かっていることを前提に病院や避難所を探して、その間に72時間が過ぎてしまい、過ぎてから被災地で探しても手遅れになっていまうのだから。

しかし、せっかく助かった命を次の大津波で無くしてしまう危険性もある。

これはどれがいいという問題ではない。そのとき自分がこれと決めた選択を実行するしかないのだろう。

マリアがベットにいない

マリアが入院している病院で、人の役に立つことをしなさいと言われたルーカス。

行方不明の人を探す手助けをしているうちに、マリアのもとに戻ってみると母がいない。

しかも、空いたベットには別の人が運ばれてきた。

取り乱すルーカス。

看護師に促されて連れていかれた先は、子供だけが集められた部屋。

そして、胸にルーカスと書かれた紙が貼られる。

よく見ると、そこにいるどの子の胸にも大きく名前が書かれた紙が貼られていた。

このシーンは衝撃的だ。てっきり、マリアの容体が急変して、亡くなったのだと思った。

しかし、現場の混乱で手術の際、他人と入れ替わってしまったようだ。ビックリさせるな~。

ひとまずは、マリアの命も助かってよかった。

成長していくルーカス

バカンスを楽しんでいた時の弟の面倒を見ないわがままなルーカスが、命の危険にさらされて、助けを求める人、命を落とした人を見て、見違えるほど大人になった。

母を助け、ダニエルを助け、病院で家族の身を案じている人を助け、人として、大切なことを学んだルーカス。

ルーカスの年齢でありがちな家族と一緒に過ごすことに面倒くささと退屈を感じていた彼が、大災害を乗り越えて見違えるように大人になった。

この経験はルーカスの今後にきっと生かされていくだろう。そして、この時の母の姿も生涯目に焼き付いていることだろう。

まとめ

それぞれ、この大災害を乗り越えた後にふとしたことで気付いた痕跡のシーンがある。

マリアの腕に書かれた他人の名前。

ルーカスの胸に張られた自分の名前。

ヘンリーに託された一緒に探してくれた人の妻の名前と置手紙。

いずれも大したことのない名前が書かれたものだが、そこにはその時の絶望や悲しみやあきらめが込められたいる。

しかしあれだけの津波にあって、よく家族全員が無事再会できたと思う。運のよさとおおいなる奇跡だ。

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