映画《コーヒーが冷めないうちに》あらすじネタバレ感想:心がかわれば未来は明るくなる

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(C)2018 映画「コーヒーが冷めないうちに」製作委員会
目次

《コーヒーが冷めないうちに》主要キャスト

時田数(かず)(有村架純)
 両親のいない20代の女性。喫茶店の店員。
時田要(かなめ)(石田ゆり子) 
 数の母親。

《コーヒーが冷めないうちに》あらすじ

路地裏にある古い喫茶店。時田数(かず)と、いとこで営むこの店には不思議な都市伝説がある。『ある決まった席に座ると過去にタイムスリップすることが出来る』と噂されていた。その都市伝説を聞いてやって来た大学生の新谷亮介は、タイプスリップするOLを目の当たりにするが、それにはかなり面倒ないくつかのルールがあった。

《コーヒーが冷めないうちに》感想

エピソード1【恋人】

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キャスト
清川(ふ)美子(ふみこ)(波瑠) 
 気の強いOL。
賀田多五郎(林遣都) 
 二美子の幼なじみ

ある決まった席に座ると、いくつか細かいルールはあるのだが戻りたい過去に戻ることが出来る。これはいい。でも、起こってしまった過去を変えることはできないという。では何のために過去へ戻るのだろうか?

二美子と五郎は会うたびに自分の彼氏、彼女の自慢をして、結局いつもけんか別れしてしまう。本当はお互い結婚したいと思っているのだが、なぜかどちらからも言い出せずそのうち言い合いのうえ、別れてしまう。

二美子が面白い。テンポのいい五郎への不満のぶちまけ方も、思い込みの激しい性格も。機嫌が悪い時の周りへの当たり散らし方も、周囲にとってわいい迷惑だろうが。

二美子はようやく空いた席に座り、1週間前に戻ろうと必死に手を合わせる。必死さがいい。そして薄目を空けて確認してから「戻っていない」と叫ぶ。せっかちで気が短いがなぜか憎めない。

1週間前に戻った二美子は、五郎からプロポーズの言葉を引き出そうとするが結局はいつもの喧嘩が始まってしまう。これでは同じことの繰り返しだと気づいた二美子は、急に言葉を選んでしおらしくしようと努力する。いつもと違う二美子に戸惑う五郎がいい。五郎のいきなりどうしたんだという表情。なんかいつもの二美子じゃないぞと警戒する五郎。でも結局プロポーズの言葉も聞けないまま、二美子は残りのコーヒーを飲み干してしまう。その時五郎が付き合っていた彼女と別れたという。二美子は「もっと早くいいってほしかった」と叫びながらも現在へ戻ってしまう。

二美子が「本当に一度起こってしまったことは変わらないの?」と数に尋ねると、(かず)は「はい」と、二美子が「じゃあ、これからの事は?未来の事は?」とたずねると、(かず)は「未来はまだ訪れていませんから、それはお客様次第かと」との答え。

「なぜあの時あんなこと言ってしまったのだろう」「あんなこと言わなければよかった」と後から思うことはよくある。

でも起こってしまったことは変えられないが、自分の考えは変えることが出来る。自分の考えが変われば、未来は自分の望む方向へ向けることが出来る。

エンディングの二美子の言葉「時間って残酷よね。ぐずぐずしてたら今も未来も一瞬で過去になる。わたしが考えなきゃいけなかったのは、絶対に失いたくないのは何かってこと」

エピソード2【夫婦】

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キャスト
高竹佳代(薬師丸ひろ子) 
 認知症の女性。
房木康徳(松重豊) 
 佳代の夫。

やっぱり二人は夫婦だった。認知症が進んだ妻から「どこかでお会いしたことありましたっけ」といわれるほど、つらいことはないだろう。康徳は混乱させるからと、自分が夫だとは名乗っていない。夫じゃなく介護士のふりをしている。

佳代が夫にあてた手紙の中に「わたしの前で介護士である必要はない。もし夫でいるのがつらくなったら、離れればいい。わたしはあなたの前で患者でいたくない。あなたとは最後まで夫婦でいたい」なんてすばらし言葉。

康徳は妻の佳代がそんなことを考えていたなんで思ってもいなかった。認知症になって、自分の事を夫だと分からなくなってからは、妻のためにと思って介護士として接してきた。しかし、妻はどんな事があっても夫婦でい続けたいかったのだ。

過去に戻ったことで、妻が認知症になることは変えられなくても、妻の本心を知ることが出来てこれからの人生を夫婦として歩んでいくことが出来る。

エンディングの康徳の言葉「心にわだかまりがあったんですね。変わっていく妻を受け止めきれずに、介護士として接していたんです。まだ夫婦二人でできることがある。一緒に散歩もできるし、旅行もできる。できることを楽しめばいい」

エピソード3【姉妹】

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キャスト
平井八絵子(吉田洋) 
 スナックの経営者。
平井久美(松本若菜) 
 八重子の妹。

親と喧嘩して実家を飛び足した八絵子は、旅館の跡継ぎを妹に押し付けてきた。自分のやりたいように生きたいと思っていた八重子だが、その妹が突然交通事故で亡くなってしまう。最後にもう一度だけ妹に会いたい、会って踏ん切りをつけたいと思いからあの席に座る。

そして妹からの驚きの一言「ずっと夢だったんだから。お姉ちゃんと一緒に旅館やること」妹は来るたびに手紙を置いていったが、八絵子は一度も読んだことがなかった。まさか一緒に旅館をやりたかったなんて。驚きと後悔に襲われる八絵子。

必死に交通事故の事を話す八絵子だが、妹はまともに取り合ってくれない。一度起こってしまったことは元に戻らないと納得した八絵子は、過去に戻ったことで妹の本当の気持ちを知ることが出来たと前向きにとらえる。過去に戻らなかったら、ずっと手紙を読まなかっただろう。妹の気持ちも分からずじまいだっただろう。過去に戻ったから八絵子は自分の道を歩み出すことが出来たのだ。

エンディングの八絵子の言葉「もし妹の事でみんなが不幸になったら、あの子はみんなを不幸にするために生まれたってことにならない?それはないでしょ?だからわたしは幸せになるって決めた。両親とか私の周りの人全部、まとめて幸せにする」

エピソード4【親子】

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キャスト
新谷亮介(伊藤健太郎) 
 (かず)の恋人
未来(みく)(みく)(山田望叶)
 数と亮介の娘

(かず)はずっと母に置いてかれたと思っていた。母は自分を置いて亡くなった父に会いに行き、別れずらくなってそのまま自分の所に帰って来なかったのだと。自分は母に捨てられたのだと思っていた。しかも、自分がコーヒーを入れたので、母が戻ってこれなくなったのは自分のせいだとも思っている。亮介との子供ができたが、数は自分が幸せになる資格がないのではないかと悩んでいた。

(かず)は母が戻れなくなった時に戻ったが、すでに手遅れだった。すでに母のコーヒーは冷めていた。何度やっても同じ結果だろう。しかも、母が戻れなくなったのは、父に会いに行ったのではなく、まだ幼い自分に会いに行ったのだ。余命3ヶ月と言われていた母は、一人残される(かず)の事が心配で、自分か死んでいるだろう未来へ行ったのだ。しかも母が戻れなくなったのは、自分が母を引き留めたからだった。

おしいシーンがひとつある。(かず)が母の所に来たということは、孫が生まれたという可能性に気付いてほしかった。数に「好きな人はできた?その人も数のことがすき?」と聞いたそのときに「もしかして、娘がいるの?」と。

だから数は恋人も作らず、ましては友達すらつくらず、同年代と遊びに行ここともせず、毎日店でコーヒーを入れるだけの生活を送ってきた。あまり笑わず、静かにほほ笑むだけで、感情を表に出さない人になってしまった。それも、すべて自分が母親を元の世界にも戻れないようにしてしまったからだと思いこんでいたからだ。

母が数に「思ったことはその人に全部言いなさい。そうすれば後悔することはないから」と。その通りだ。思っていることを言わなかったり、言えなかったりしたためにどれだけ行き違いが起きて幸せを逃しているか。

言ってしまったことは元に戻らないが、訂正することは出来る。言わなかったことは、いくら後で悔やんでももとに戻すことは出来ない。

やっぱり母は幽霊だった。数が会いに行った日を境に、いつもの場所から母の姿が消えた。思いが晴れたのだろうか。数に愛する人が現れて、もう見守っている必要がないと思ったのだろうか。

エンディングの亮介の言葉「たったコーヒー1杯分の時間でも、心は変わる。」

心が変われば未来も違ったものになる。周りの人が変わるのでも、社会が変わるのでもなく自分の心が変われば世界の見え方も変わる。

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