映画《エリジウム》ネタバレ感想:マット・デイモンの体が痛々しいでも大暴れ

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作品情報

原題:Elysium
公開年:2013年
製作国:アメリカ
上映時間:109分
ジャンル:SF
監督:ニール・ブロムカンプ
評価:85

富裕層と貧困層に二極化した未来。
貧困層に住む無名の男が人類を縛る二極化した社会システムを破壊する。

富裕層とはスペースコロニー(エリジウム)に住む市民権を持つ人々。
貧困層とは荒廃した地球に住む見捨てられた人々。

主要キャスト

マックス・ダ・コスタ(マット・デイモン)
 青年時代車、泥棒や武装強盗で少しは知られたマックスだったが、刑務所に収監され出所後は保護観察処分のもとアーマダイン社のもとで地道に仕事をこなす日々を送っていた。
 しかし、ある日上司とのトラブルで大量の放射能を浴びてしまう。そして、余命5日の宣告。しかも会社は解雇。
絶望のなか、唯一助かる方法はエリジウムにある万能医療設備(医療ポッド)に入ること。しかしそれには、まずエリジウムへたどり着けなければならない。市民権を持たないマックスにとってはまず不可能なことだった。

ジェシカ・デラコート(ジョディ・フォスター)
 地球とエリジウムを統括するエリジウムの防衛庁長官。
 地球市民を監視するCCB(民間協力局)の総責任者。
 

M・クルーガー(シャールト・コプリー)
 地球に滞在しているCCB(民間協力局)所属の傭兵。エクソ・スーツを着たマックスをスーツ未着用の状態で倒すほど極めて高い戦闘能力持つ。
 しかも残虐な性格の持ち主であり、レイプや誘拐、拷問など15件の犯罪者。扱いかねたCCBから解雇されるが、ジョン・カーライルがデータを奪われたことによりデラコート長官の極秘の仕事を請け負うこととなる。

スパイダー(ヴァグネル・モーラ)
 地球の闇商人。地球人をエリジウムに密入国させる組織のリーダー。
 足を怪我しており、杖をついている。
 マックスにエリジウムに行く条件として、エリジウム市民が脳内に保管している莫大な預金や資産などのパスワードを手に入れるように要求する。
 しかし彼が予想外のものを手に入れたことにより今回の事件に巻き込まれる。
 本心ではエリジウムと地球の格差に憤慨している。

フレイ(アリシー・ブラガ)
 マックスの幼馴染の看護士。
 なんとかして重病の娘をエリジウムに連れて行きたいと望んでいる。

フリオ(ディエゴ・ルナ)
 マックスの友人で元ギャング仲間。スパイダーとも繋がりがある。

マティルダ(エマ・トレンブレイ)
 フレイの娘。末期の白血病。

ジョン・カーライル(ウィリアム・フィクナー)
 エリジウムの住人でアーマダイン社CEO。
 エリジウムの設計者。
 地球そのものやそこに住む地球人達を汚物のように見ている。
 ある過程でマックス達に襲撃され殺害されるが、彼の脳内のデータがマックスにコピーされる。

エリジウムの生活

富裕層は汚染された地球を離れて巨大宇宙都市(エリジウム)の楽園で生活している。

エリジウムの市民と地球に住む市民は完全に隔絶されている。

そして、地球市民はエリジウムへ行くことはできない。

エリジウムでは労働から解放され、病気とも無縁の生活が保障されている。すべての労働はアーマダイン社のロボットが担い人間は死ぬまで余暇を楽しむことが出来る。

エリジウム市民は病気によって最後を迎えることはない。どのような難病や外傷も医療ポッドに入りさえすれば瞬時にして完治してしまう。

いづれはほとんどの人々が働かず好きなことを過ごす日が来るのだろうが、果たして「何もすることがない」と感じる人にとってそれが本当に幸せな世界なのだろうか。

労働から解放されることで、今まで時間がなくてできなかったことが出来ると喜ぶ人はいいとして、若い時分から暇を持て余して何もすることがないというのも苦痛でしかないと思う。

それとも、AIがさまざまな余暇の過ごすイベントを用意してくれるのかもしれない。バーチャルを使ったどのようなことでも叶えてくれる世界を作れるのかもしれない。

地球の生活

一方、犯罪と貧困がはびこる地球では、多くの地球市民がその日暮らしを強いられている。

あたり一面いつも誇りが舞い散るスラム街。市民の来ている服も決して清潔とは言えない。満足な医療も受けられず、子供たちは大人に小銭をせびる。大人でさえも、まともな仕事にありつけないのか、はなっから働く意思がないのか昼日中からぼーっとたむろしている。

エリジウム市民は働かなくても毎日快適な生活を楽しんでいる、地気市民は仕事がなく働けず日がな一日ぼーとして過ごしている。労働はAIに制御されたロボットたち。

では、そのエリジウムのシステムを地球まで広げられないのだろうか。

マックス

可哀想な生い立ちだが、マックスと同じような境遇の人は五万といる。そのなかでもマックスが特に悲惨というわけではない。

少年時代はエリジウムに憧れて空ばかり見ていた。

少々のころは地球の施設で育ち、その後車の窃盗をして何度か警察の厄介になったようだ。しかし今では過去の犯罪から足を洗ってまじめに工場で働いている。その矢先に、工場長の脅しでしぶしぶやらされた作業の結果、高濃度の放射能を浴びることになってしまう。

余命5日、そのうえ工場はクビ。使い物にならなくなったマックスはロボットからもクビを言い渡される始末。ロボットから言われるのが余計みじめで絶望感を覚える。一縷の望みはエリジウムへ行き最新の医療設備で治療してもらうこと。突然のピンチに追い込まれたしまった。

死んでいなければどのような病気でも、瀕死の重傷でもそこでは完治してしまう。医療ポットに入りさえすれば命は助かるのだ。しかし、その医療ポットはエリジウムにしかなくエリジウムへ行くこと自体がものすごく大変なことだ。まず、エリジウム市民でなければ地球からエリジウムへはいけない。すべての人間は皮膚に埋め込まれたIDで厳格に管理されている。

違法な密航を手配してくれるのが、クセの強い昔の犯罪仲間、スパイダーだ。このスパイダーも曲者だ。昔、マックスと以前何かあったらしい。しかし背に腹は代えられなずマックスは彼に頼るしかないようだ。

しかし、マックスもいくら死ぬよりはましと言ってもひどいものをつけられたものだ。神経と直結する強化外骨格(エクソスケルトン)はロボットを上回る破壊力を発揮する。瀕死の今の状態ではこれぐらいの装置で体をカバーしないと動けないのだろう。でも機械が肉に食い込んでいるのは痛そう。

施術したスパイダーの手下もマックスが生きていることに驚いているくらいだから、よっぽど無謀なことだったのだろう。しかも、脳内にコンピューターのデータをそのままコピーできるようだ。それじゃコンピューターのデータ量が脳に収まりきらない量だっらどうなるのだろう。余った分はただ入りきらないだけなのか、圧縮して脳内におしこむのか、発狂するのか。

ジェシカ・デラコート

 エリジウムの防衛庁長官。地球市民を監視するCCB(民間協力局)の総責任者。

人類はエリジウム市民だけでいいと考えている。地球市民なら何人死のうがかまわないと思っている。

地球人を容赦なく殺害するような冷徹な女性。エリジウムの上層部はそんな彼女を非難している。しかし本人はそのような上層部を「弱腰」と見ており、自らがエリジウムの総裁に収まろうとジョン・カーライルと共にある計画を実行しようとする。
 しかしそのカギを握るプログラムをマックスがコピーしてしまい、彼を確保する任務を傭兵のクルーガーに命じる。

それにしても、自分の野望の為には手段を選ばない情け容赦のない女性だ。エリジウムの総裁を何もできない弱腰の無能と思っている。自分が新総裁になるためアーマダイン社のCEOジョン・カーライルを抱き込みエリジウムのシステムを書き換える陰謀を企てる。

ということは、エリジウムのシステムが新総裁と認めれば誰でもなれるのだろうか。

結局、新総裁は誰になったのだろうか。地球市民をすべてエリジウム市民にしたのは分かったが、エリジウムの総裁はどうなったのだろか。

簡単に、解任される総裁もそうだが、自信過剰で好き勝手に利用したクルーガーに殺されるジェシカも愚かだ。相手の心が理解できないのか、ジェシカも無防備な状態でクルーガーを罵倒しながら近づいてクルーガーの神経を逆なでして殺されている。

地球で使うエージェントはもっとましなのはいなかったのか。クルーガーはあまりにも危険すぎる。いつ裏切るとも分からない犯罪者を使うとは。地球ではない宇宙にいる自分は害が及ばないと高をくくっていたのだろうか。そうゆう油断が命とりだ。

M・クルーガー

根っからの悪党。残虐非道で敵味方関係なく用のない奴はすぐ殺してしまう。

しかも強い。何も身につけず素のままで強化外骨格を組み込まれたマックスと互角に戦うのだから。なんて奴だ。

ナイフや日本刀など刀剣を使って戦うかと思えば大気圏外へも届く携帯型ミサイルランチャーもぶっ飛ばす。そして、爆破式の手裏剣や電磁シールドなの未来兵器も駆使する。最後の最新式のエクソ・スーツを装着してマックスとの死闘が見もの。

エリジウムの防衛システム

エリジウムの権力者たちはあまりにも愚かで脆い。エリジウムが地球から離れたところに存在するという地の利に頼り過ぎて、防衛システムというものが存在していない。不法接近してくる地球からのシャトルを発見、監視することはできるがそれらを制止する武力は持っていないようだ。それを止めたのが地球にいる犯罪歴のあるエージェントが発射したロケットミサイルとは。

防衛庁長官はいるのに、ロボットを使った防衛システムはないのか?

どうもシステムを遮断してシャトルの運行を止めるだけでいいと考えているようだ。しかし、犯罪者は裏をかいくぐって抜け道をいともたやすく見つけるものだ。

ラストは感動

犯罪と貧困が渦巻く混沌とした地球を舞台にした闘い。

地球の貧困層出身のマックス対エリジウムの富裕層の対決ではなく、マックスと対犯罪者のクルーガーの対決が強烈に印象に残った。

クルーガーといい、闇商人のスパイダーといい一癖も二癖もあるキャラクターが登場する。それに比べて、防衛庁長官のジェシカは別にして他のエリジウム市民は印象が薄い。

結果的に地球の元犯罪者の一市民がエリジウムの特権階級システムをぶち壊す。

自分の命と引き換えに、すべての地球市民にエリジウム市民権を与えたマックス。

エリジウムから次々と医療ポッドが地球へ向けて送り込まれ、大勢の地球市民たちが一瞬であらゆる病気が完治する医療システムを受けられることとなった。

しかし、マックスだけはその光景を見ることが出来なかった。

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